ガンダム 月の翅
「で、でもこんなに何もないと嫌でも見つかっちゃうよなぁ」
「こんなにおっきいんだから何かあっても無理でしょ」
「…じゃあさ、潜れると思う?」メイが静かに言った。
「えっ、こいつでですか!?」
「思いまーす!」
「じゃあどっか掴まっていな!!」
舵はメイが握っていた。アドネスクの船尾、サソリで言えば尻尾の先端から前方50メートルにベノムカノンを放った。針が着弾すると半径20メートルに砂塵を巻き上げ、砂漠にぽっかりと穴をあけた。「もう一丁!」もう一発放つとさらに穴は深くなった。
「後はこの腕で掘り進む!」
アドネスクを蠍のようなと形容したからには当然腕のようなものがあるわけで、それで地中を掻き分け、下への方向も加えながらひたすら進んだ。
「ん?」
しばらく進むと障壁に突き当たった。
「なんかの施設かな?」
アドネスクのスクリーンは今、船体から発する音波の受信を基に構成されたグラフィックであり実物ではない。何らかの影響でグラフィックが正確に出来ていないかもしれないとふんだメイがスクリーンをCGからカメラに切り替えライトアップすると、砂の壁だった。両アームで前方の砂を掻き分けると
「機械…?みたいですね」「邪魔なんだよったくさぁ!ぶっ壊してやろうか?」
「一度、地上へ上がった方がよろしいかと思われます」
シルルの提案だ。
「あんたさぁ、そろそろ服着てくださらない?」
アベニールを胡散臭いと感じているメイには側近のシルルも無条件でその対象なのだ。
「服なら着ておりますが」
「はいはい上に行きますよ!行けばいいんでしょういけば!!」
アドネスクは状態を反らせ、機械伝いに地上へと這い出た。
地上へ出ると機械の姿が直径5メートルの筒状の物だろうということが推測できた。その筒には皿が埋め込まれており、あたりを見渡すとそのようなものが5メートルおきの等間隔にあった。表面上はわかったもののあらましはわからなかった。
ブシュウウゥゥゥ
突如砂塵が舞った。