ガンダム 月の翅
「なぜ地下だと?」
シルルが降船後初めて口を開いた。感覚的には納得していたようだが地下深くと妙に現実的な言葉に違和感を覚えていた。
「言い伝えではこちらの、私たちの世界からそこへ招かれたものは『地上人』と呼ばれていました。そこへ行くには『オーラロード』を通らなければなりません。私たちは何代にも渡ってこの『オーラロード』を探しています。そしてそれは地下深くにあるのではないかと」「それで何で私たちをずーっと待ってたのか?」メイが遮った。
「もう一つの可能性です。」
少女は初めて振り返った。
「あなた達が乗ってきたあの船です。」「船ぇ!?」アキラが素っ頓狂な声を出した。
「あなた達の船は理想郷にある船と近いのです。あの船が、あの船より来るものたちこそが、私たちを理想郷、バイストン・ウェルに導いてくれるとされているのです。」
「か、変わったところなんですねぇ…あはは、理想郷ってそういう…というか、どこへ向かってるんですか?」「中枢です、降下します、気を付けてください。」
コロニーの中枢は地中深くにあり、彼らは今にも壊れそうな昇降機で降りて行った。