ガンダム 月の翅
「あんた何考えてんの?」
クロードが自分のドームにマオをつれて帰ると妻のメイが静かな怒りを向けた。スレンダーな割に筋肉質な躰から出る声は芯が通っている。
「い、いいじゃない、俺になついてるし」
クロードがメイをなだめている中、マオはメイに対し威嚇の体制をとっていた。
「いい?あんたは研究、私は発掘でろくにナユタの面倒も見れてないの!その上もう一人、しかも野生児!?誰が面倒見んのよ!!」
「ナユタが面倒見ればいいよ」
「え?」
クロードがあまりにもあっけらかんとしていったのでメイは一瞬怒りを忘れた。
「あの子はまだ13よ!?ペットならともかく女の子をいきなり面倒みれますか!」
「もう13だろ?それくらいできるよ」
「何がそれくらいなの!?まともに面倒見た事ないから簡単に言えるんだよ!」
「簡単には言ってないよ、男として託して」
「あんた自分で何言ってるかわかってんの?だいたいあんたはいつもいつもそうやって」
食って掛かるメイと人を食ったようにかわし続けるクロードとの夫婦喧嘩とも言い切れないやり取りが続くので、マオは態勢を解いて家の中のものに興味を移していた。
「ただいまー・・・あれ?」
ナユタが帰ってきた。作業の手伝いをしにいっていたようだ。
「おかえり、今日から一緒に暮らすマオだ。面倒見るんだぞ!」
クロードはナユタにマオを紹介しがてら押し付けた。メイはため息をついた。
「このバカ…」