ガンダム 月の翅
クロードがマオを保護してから三日後─────
「クロードさん!」
レトが慌てふためいていた。
「どうした?」
と言いつつもあらかたの予想はついていたが、ラボのドームへ向かうと事態は想像以上のものだった。
「昏睡状態から、目を覚ましたと思ったら、急にあ、暴れだして、そ、それで・・・」
レトは今にも泣き出しそうに取り乱していた。凄惨な光景があった。
ピューマの身体中に金属のような触手がうねうねと蠢いており、ピューマは息絶えていた。
「・・・データをたのむ。それとこれは保存する、手伝ってくれ」
あまりの凄惨さ、得体の知れなさから誰も手を貸せず、その場にいる皆が硬直していた。クロードはふぅと一息つき、保存液の近くまで引き摺った。金属の触手がいくつかちぎれ落ちた。
「手伝います」
レトはある程度落ち着きを取り戻していた。
金属触手を電子顕微鏡で見るとナノの世界が広がっていた。断面は禍々しく、じわじわ再生してゆくその様は肝を冷やす。
「再生、しているんですか?」
レトが尋ねてきた。
「リペアジオジウムが先祖返りを始めているんだ…」
のんびりしていられない、しかし動けないのが今の状況だ。
ガツガツムシャムシャバクバクベチャベチャ!
マオは素手で夕飯の肉や魚をほおばっていた。
「あーもうまた食い散らかして!」
ナユタはマオの世話役を任せられてから日々務めをこなしていた。ナユタのおかげでマオは犬食いから手づかみでものを食べるようになった。