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なかのあずま
なかのあずま
novelistID. 54195
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ガンダム 月の翅

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 「局部注水開始…ハッチオープンします。」
「行ってきます!」「い、行きます!」
 
 地底艦の後方、墓場には先ほどまで無かったはずの人型の影があった。 
 「あいつか!」
メイがべルポッドのライフルを相手に放とうとした時、人型の影はライフルを構え引き金を引いた。射出された弾はべルポッドを目掛け向かってきた。
 ベチァッ
べルポッドのライフルに撃たれた弾は飛び散り耐重水圧カプセルスーツに泥のようにこびりついた。泥はスーツの表面に薄く伸び覆ってゆく。
 「目くらましなんてぇ!」視界不良になりながらも墓の主に続けてライフルを向けた。
スーツにこびりついた泥が明らかにおかしいことにアラウダが気づいた。「メイさん!そのスーツを脱いで!」
 「えっ!?」
 「早く!!」
 「でも、潰れちゃう…」
 「いいから!」アラウダはスーツ上の泥の広がりが速くなっているのを見た。
 メイはスーツのパージをためらっていた。
 「でも、潰れたら、こんなとこで潰れたら・・・」
 「少しの間なら大丈夫です!私が食い止めますから早く!」
 「少しの、少しの間なら・・・」メイは腹を括った。「あああああっ!!」
 べルポッドはスーツを脱ぐと一気に 地底艦のハッチへ向かった。その時、メインカメラが地底艦の装甲にこびりついた『泥』をとらえた。メイはべルポッドの深海の水圧耐性を確認すると両アームの先からビーム状の粒子を4本づつ、巨大な爪を生やした。そのまま手首を高速回転させ装甲の泥を削り取って行った。アラウダのゲドラフはタイヤを振り回し墓の主にぶつけた。その瞬間、タイヤを飲み込むように人の形を崩した。本能的に危険を感じたアラウダはタイヤを離しライフルによる攻撃に切り替えた。
 メインブリッジのウインドウからアキラとカントがその様子を見ていた。
 「あれってあんたたちが前に乗ってきたやつじゃないの!?」
カントは答えなかった。
 「知らないの!?そんなわけないだろ!」
カントは答えない。
 泥をすべて排除したメイはべルポッドを墓の主に向け切り掛かって行った。主をビームネイルで切り裂き、破片を手のひらから放つ粒子弾で消し炭と化して行った。アラウダも集中攻撃をかけ、影はみるみる欠けていった。順調に消滅に向かうかと思われたその時、アラウダをとてつもない寒気が襲った。
 主の背後、瓦礫と化した文明の墓場が蠢いた、蛆虫のように。そしてじわじわと2機に迫ってきた。
 「アラウダ、戻るよ!」「は、はい!」二人は地底艦へ戻った。
 メイはブリッジに殴りこむように入ると「速度限界まで上げて浮上してここを離れて!!」とセルムに言った。
 「速度は上げますが浮上せずに潜行します。」「いくら地底艦て言ったって」「この船の名前はアドラスです。」「名前はどうだっていいから早く!!」
セルムはアドラスの速度を上げ、レーダーで空洞を頼りに更に西へと進んだ。
作品名:ガンダム 月の翅 作家名:なかのあずま