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なかのあずま
なかのあずま
novelistID. 54195
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ガンダム 月の翅

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 オセアニア上空、フィリアス・パスパルト率いる少数部隊が飛行していた。眼下には『大地のへそ』と呼ばれる巨大な一枚岩、エアーズロックが広がっていた。テーブルマウンテンほどではないがほぼ垂直であり、周囲は9,4キロメートル、標高は868メートルを誇る。エンジンの反応をズームするとこのあたりに反応があったのだが、
 「何もないな ・・・」
それらしき街はおろか、集落も船も人も何も確認できなかった。
 フィリアスは黄金の機体、アルサザーを駆り5人編成の小部隊を率いていた。アルサザーを降下させエアーズロックの麓に降り立とうとした時、高エネルギー反応が現れた。
 「各自散らばれ!」
各機が散開した途端、大型の粒子が通過していった。粒子の来た方向に一機の巨大な、ロマネスコの様な巨大なフラクタル構造の物体が浮かんでいた。
 「ここに来るのか!させないぞぉ!」
外部通信によりその中にいる者の声が響いた。
 「なんだあいつは・・・」
 「私はベジェル・ウル・コーマ!そしてこれはティアドールという!」
フィリアスはボリュームを絞った。
 「貴様は何なのかと聞いているんだ私は!」
 「私はベジェル・ウル・コーマ!ここの番人だ!他に質問は!?」「馬鹿だな」
 「死ねぇっ!!」
ベジェルはティアドールのマイクロ・ソーラ・レイをガトリングの様に連射した。
 「避けつつ接近して取り囲め!」「避けられると思うなよぉ!」
 
 マイクロ・ソーラ・レイの光が一本、また一本と消えていき、ベジェルは焦燥感に駆られた。
 「遊び過ぎたら壊れるんだよ、おもちゃはなぁ!」
散らばっていた小部隊はすっかりティアドールを取り囲む形になっており、一斉に四方からティアドールへと迫っていった。フィリアスはサーベルを突き刺した。

 その一太刀に手応えはなく、サーベルは空を切った。
 「あ、あれぇ…?」
ベジェルは自身と機体とのズレを感じていた。次第にフラクタルの影が薄くなっていき、中から一機のモビルスーツが現れた。
 「見掛け倒しが…こなせないなら使うなぁっ!」
フィリアスはその勢いでティアドールに斬りかかる。が、ティアドールはそれを躱すと背後に回りこみアルサザーのボディを掴むと半回転し真っ逆さまに急降下した。地表に届く寸前、アルサザーを放り投げた。
 「くっ・・・!」
フィリアスはなんとかアルサザーの体勢を水平にし地面への直撃を免れた。
「・・・ん?」
フィリアスはエアーズロック近くの地面に穴を見つけた。「各機に通達、そいつの足止めを頼む」
作品名:ガンダム 月の翅 作家名:なかのあずま