ガンダム 月の翅
ドックに入るとただただ広い空間があった。ここにあったオーラバトラーは全て飛び立ってしまったのだ。そう思いながら一通り見回すと広い空間の奥の隅の方にただ一機、取り残されたように一機残っていた。
『思ったよりでかいなぁ…』
この時のアキラにはわからなかったがこのオーラバトラーは通常の倍の、モビルスーツと同等の大きさがあった。
『なんの形だろう?』
大型のオーラバトラーの周りを一周してわかったことは腰に武器がある事だけであり、どう乗ればいいかわからなかった。無重力であればまだしも重力の井戸の中では6メートル近く上にある腹部のキャノピーまで飛ばなければならなかった。
『どうしよう…』
焦っているとバレンドラが大きく揺れた。
バレンドラからジュラルミンの塊に主砲が放たれていた。
「生け捕りにするっつったろうが!」
少しずれていたら巻き込まれていたメイは吠えた。
「いや、この程度であいつは死なないか・・・」
揺れでバランスを崩した大型オーラバトラーはそのまま倒れ、腹部のキャノピーが床に着いた。
「しめた!」
アキラは乗り込みオーラバトラーを叩き起こした。
起動したオーラバトラーは立ち上がると前進し、背中に畳んでいた翅を蛹から羽化するように広げ
バレンドラから飛び立った。
スプウェル・フェムーリオを視界に捕えたアキラのオーラバトラーは急加速、激突した。
波動がその場にいた人々の内臓に響いた。