ガンダム 月の翅
それまで劣勢だった戦いは次第に巻き返しを見せつつあった。スプウェル・フェムーリオがまともに攻撃を食らったのはこれが初めてであり、それ彼らをわずかに安堵させた。
ところがアキラは碌に操縦しておらず、このオーラバトラーの意思が大いにはたらいていた。しかし楽観的な性格故に影響をほぼ受けずに済んでいた。
「このままケリをつけてやる!」
「そういうのを若気の至りだというのだ、小僧!」
しかしアキラは自身の体力が消耗していることを気づいていなかった。
「はぁっ!なんで当たらないのっ!」
「貴様がバカだからなぁ!」
オーラバトラーの打撃は空を切り出した。
「ふんっ!」
スプウェル・フェムーリオは攻撃を避けると掌を突き出した。
「アトミック・フィンガーとでも言おうか、これで終いにしてやる」
掌が青白く光り、それは目も当てられないほど眩くなっていった。
ドォンッ
ヒノモトは頭を殴られたかのような衝撃を受けた。
「アキラ!今だ、やれ!!」
スプウェル・フェムーリオに集中攻撃が浴びせられた。
「オオオオオオオオオオォォォ!!!」
アキラのオーラバトラーは吠え、腰に携えていた二本の剣を鞘から抜き、二刀流で斬りかかった。これを機とし、その場のモビルスーツ、オーラバトラーはスプウェル・フェムーリオを八方から取り囲んだ。
「こいつは捕獲じゃすまなそうだね・・・」
「数さえ多けりゃ勝てるというのか・・・?」ジブラルタル域の大気が変わった。
宇宙世紀、かつてこの地域は『アーティ・ジブラルタル』と呼ばれており、地上から宇宙に物資などを第一宇宙速度まで加速させ放り投げる、マスドライバーという装置がそこにあった。
さすがのアキラでも大気の異変に気付いていた。
「なんだろう、これ・・・ 」「アキラ危ない!」
アキラのオーラバトラーはスプウェル・フェムーリオに力一杯蹴り飛ばされた。吹っ飛んだ先で何かに嵌ったように固定され、動けなくなった。
「う、うわあああぁぁぁ!!!!!」