ガンダム 月の翅
腹部のコックピットキャノピーが開いた。
そこに人の姿はなかった。
ただの空洞だった。
「マオ、乗ってごらん」
アベニールはマオを機械人形のもとへ連れて行く。
「待て!何考えてんだお前!」
「マオを呼んでいる」
「やめろ!」
「まだ終わってないよ?」
「え…?」
アベニールの後ろで機械人形が吹っ飛んだ。
「!!!」
スプウェルフェムーリオが左手を伸ばし新たに原子の塊を生み出した。
機械人形が態勢を翻し原子の塊を生み出している左手をつかむ。
そして
引き千切る。
ちぎられた左腕から液が垂れて滴る。
「今だ、行け!マオ!」
アベニールに答えるように機械人形が再び手のひらを差し伸べた。
マオは導かれた
機械人形はマオを手のひらに乗せ、キャノピーの奥へ入れた。
白金色の身体に色がついてゆく。頭と四肢は白く、胴体は青、赤、黄のトリコロールカラーの光を放つ。
クロードは全身に力が入っていた。
「その色…その姿…」スプウェル・フェムーリオ、いや、ヒノモトの声が辺りに木霊する。「なぜ現れた・・・ガンダム・・・!」
残った右手を青白く光らせ『ガンダム』に向かっていく。
「オオオオオオォォォ」
ガシィッ
『ガンダム』の掌が頭部をコックピットごと掴んだ。
そのまま脊髄ごと引きずり出し、ジュラルミンの怪物はこと切れた。



