ガンダム 月の翅
扉の向こうには人ひとりがくつろげるだろう空間があり、奥の方に円形の台座があった。どうやらエレベーターのようなものであり下へ降りる事ができそうだ。メイを筆頭に発掘班はエレベーターで深部へと下りていった。
上は外からの明かりで薄暗い程度だが、
降下していくうちに次第に光はなくなってゆき、まるで深い海の底へ落ちてゆくようであった─────
メイたちは酸素が薄くなっていくことを感じ、下で息はできるのだろうかと不安が募った。一人は息を止めていた。五人でも余裕はあったが暗闇と酸素の薄さ故に圧迫感があった。
「ぷはあっ!」
班の一人が暗闇の閉塞感、圧迫感に耐えられなくなり息を吐き出した時、深部へ到達した。時間にしておよそ45秒程度だったがその何倍もの体感時間があった。
ウウウウウゥゥゥゥン
扉が開き、一行は頭に装着したライトを点灯した。深部の捜索へ乗り出す手始めとしてスキャナーという手のひら大の球体を飛ばした。レーザーを発して辺りを照射し、建造物などの構造を読み取りデータ化するといった優れものである。マニュアルモードとオートモードがあるが操作をまともに出来る者が少ないため殆どオートしか使われない。
「か、かなり…広そうですね」
班の一人、アラウダ・アヴェンシスが手首に着けた長方形の受信デバイスを見て唾をのんだ。女性と見間違うほどの顔立ちと長い髪、色白で細見であり声を聞いても男とわかりづらいが力はある。ちなみに先ほど息を吐き出したのは彼である。
「速度あげて!この程度で壊れないでしょ、それと近くにブレイカーがないか探して!」
『パンッ』
乾いた音が響き「痛ってぇ!何ではたくのさ!」と声がした。どうやらアラウダに頬をはたかれたようだ。声の主はアキラ・パルト、黒く少し長めの髪はぼさっとしており色白の肌に赤い瞳が特徴的な17歳の好青年である。キキルという妹がいる。
「あった!これじゃないですかね!?」
どうやらアキラがブレイカーらしき物を見つけたようだ。
「そうみたいだけど・・・」
そこには扉と同じような十字形のボタンがあった。