機動戦士ガンダムRS 第43話 罪
「先も言ったがこの戦いは、あくまで『ボアズ攻略戦にあの艦らが参加しないようにするための戦い』だ。
しかし初心者は、それがわからずあるいは恐怖で深追いをしてしまう可能性がある。
それを警戒している」
イームズ艦長は、何に恐怖を感じているか詳細にブライアン艦長に説明した。
「大丈夫です。
指揮官は、サオトメですから」
ブライアン艦長は、イームズ艦長に指揮官の名前を言って安心させた。
コロニー軍では、サオトメという名前だけで何か安心感が得られるほどであった。
※
サオトメとシグマン大尉は、パイロット待機室で雑談をしていた。
そこにアイリス曹長が来た。
シグマン大尉は、自分が邪魔ものだと悟り席を外した。
「あの、お話し中だったのにすみません」
アイリス曹長は、まず最初に謝罪した。
「いや、ただの雑談だったからいいよ。
それより何?」
サオトメは、アイリスに本題に入るように促した。
「以前隊長がお見せになった操縦訓練を参考にあれから訓練を積んだら若干上達したのでその報告に参りました」
アイリスは、照れているのか若干頬を赤く染めて報告した。
「そうか、それはよかった。
でもそれは、アイリスの向上心が成し遂げた結果だよ」
サオトメは、部下の成果を独占させた。
「そんな事ありません。
あの時の隊長が私に訓練をお見せになったからこそです。
なので隊長、色々とありがとうございます」
アイリスは、サオトメに頭を下げ礼を言った。
サオトメは、感じたことのないくすぐったさに戸惑っていた。
「それとこれからもお願いします」
そういうともう一度アイリスは、サオトメに頭を下げた。
「ああ、こちらこそ」
サオトメもつられて頭を下げてしまった。
「では、失礼します」
アイリスは、そういうと席を立った。
サオトメは、気付かなかったがアイリスは顔を真っ赤にしていた。
※
ドミニオンでは、カラミティガンダムとレイダーガンダムの出撃準備が行われていた。
「今度撃墜できなかったらまた怒られるんでしょ。
いいように使ってくれるよな、あのおっさん」
クロト少尉は、レイダーガンダムの起動準備を行いながら愚痴った。
「しょうがない。
殺されるよりは、殺す方がマシさ」
オルガ少尉は、その愚痴に答えた。
※
ドゴス・ギアでは、マン・マシーン隊の発進準備が行われていた。
「進路クリア。
ガンダムサイガー、発進どうぞ」
マーネリー軍曹がガンダムサイガーのコックピット内に響いた。
「アツシ・サオトメ、ガンダムサイガー出る」
サオトメは、再びアーガマもどきを撃沈すべく広大で漆黒な空間に飛び出した。
「η艦隊、発進する」
ブリッジでは、ブライアン艦長が艦隊の発進命令を出した。
再びη艦隊とδ艦隊は、コロニーメンデルに向かった。
※
それは、アークエンジェルのレーダーでも確認できた。
「艦長」
サイ二等兵がラミアス艦長に敵の接近を報告した。
※
それは、遊撃艦隊第339艦隊でも確認できた。
「艦長」
旗艦マゼランのオペレーターが艦長に痺れを切らしたように命令を促した。
「クソ、中隊長はどうしたんだ?
内部は、いったいどうなっている?」
艦長も情報が不正確すぎてうかつに動けなかった。
※
マン・マシーン隊は、ゲタに載ってどんどん進攻していた。
※
「祖父のクローン?
そんなおとぎ話を私が信じると思って」
フレイは、敵の話を全く信じていなかった。
「私も信じたくは、ないがな。
だが残念なことに事実でね」
敵は、どこか諦めたように語った。
※
「敵艦隊が来ます。
距離50、グリーンブラボー」
ミリアリア二等兵が敵が接近してくる方角を報告した。
「総員、第一戦闘配備」
ラミアス艦長が戦闘配備命令を出した。
「接近する熱源あり。
熱紋照合、ガンダムサイガー、リズィーシーガンダム、ユーピテルとマールスです」
サイ二等兵が敵の機種を報告した。
※
「間もなく最後の扉が開く。
そしてこの世界は、終わる」
敵パイロットは、そんなことを言いながらユーピテルツヴァイをストライクアヴェンジャーに徐々に近づけていた。
キラ大尉は、敵の話を聞かずに状況を打破するため飛び出すタイミングを見計らっていた。
「この果てしなき欲望の世界は」
フレイ少尉は、万事休すと覚悟を決めていた。
「そこであがく思い上がった者達の望みのままにな」
ユーピテルツヴァイは、ビームライフルをストライクアヴェンジャーに向けた。
「フレイ」
気付くとキラ大尉は、ユーピテルツヴァイに向かってフリーダムガンダムを向けていた。
「そんなことさせるものか」
ユーピテルツヴァイは、フリーダムガンダムにビームライフルを撃ってきたが巧みな操縦で回避した。
その隙にフレイ少尉は、ストライクアヴェンジャーが持つ76mm重突撃機銃を撃った。
キラ大尉は、クスィフィアスレール砲を撃った。
76mm重突撃機銃の1発は、ユーピテルツヴァイの右腕に命中しクスィフィアスレール砲は頭部に命中した。
その代償としてフリーダムガンダムの左肩アーマーにビームライフルがかすめた。
フレイ少尉は、ここぞとばかりにシヴァとクスィフィアスレール砲を連射したが回避された。
※
η艦隊とδ艦隊の動きを察知したエターナル、アークエンジェル、ドミニオンとクサナギの艦載機が迎撃のため発進した。
「君達は船の守りを」
アスラン中佐は、エースパイロットがいないM1アストレイの部隊に母艦の直掩に就くように命令した。
「了解」
M1アストレイの部隊は、母艦の周囲を固めるように位置した。
※
アークエンジェルも発進した。
「背後の艦隊の動きに気を付けて。
ゴットフリート照準、コリントス装填」
ラミアス艦長は、前方の敵にのみではなく後方の敵の動きにも注意するように命令した。
※
「主砲準備、アンチビーム爆雷発射。
母艦を潰すぞ」
バルトフェルド艦長は、母艦を沈め一気に決着をつけようと考えていた。
バルトフェルド艦長の命令でエターナルからミサイルが無数に発射された。
※
「貴様等だけで何が出来る。
もう誰にも止められはしないさ。
この宇宙を覆う憎しみの渦はな」
ユーピテルツヴァイのパイロットは、そう吐き捨てると弾幕をかいくぐって後退した。
「待て」
フレイ少尉は、追撃しようとしたがキラ大尉が止めた。
※
サオトメは、下駄背負いガンダムを発見した。
しかしキラが駆る羽付きガンダムは、見当たらない。
「おいおい1機しかいないのかよ」
その時サオトメは、状況を理解した。
「なるほど、コロニー内に潜入したうちの1機は、キラだったのか」
そうなると遊撃艦隊の偵察部隊は、全滅だと確信した。
※
アスラン中佐は、SEEDを覚醒させると2機は激しい戦闘に突入した。
※
「ゴットフリート、撃て」
作品名:機動戦士ガンダムRS 第43話 罪 作家名:久世秀一