二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
綾瀬しずか
綾瀬しずか
novelistID. 52855
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

あゆと当麻~道しるべの星おまけ~

INDEX|6ページ/10ページ|

次のページ前のページ
 

「当麻、くすぐったい」
亜由美がくすくす笑う。
「こっちの方がいいのか?」
当麻はそう言うと亜由美の唇を奪って熱いキスをする。
唇を求められた亜由美も同じ熱さで応える。
唇を離して当麻が言う。
「やっぱり、こっちの方がお気に入りなんだな」
ちゃかして言うと亜由美は顔を真っ赤にしてばっと当麻から離れると向こうを向いてタオルケットの中にもぐりこんでしまう。
その様子を当麻はくつくつを面白そうにして笑う。
「お前ってほんとにかわいいやつ」
子供扱いしないでよ、と亜由美は向こうに向いたまま不満そうに呟く。
「これぐらいのキスで恥ずかしがっている間は子供だって」
当麻は面白そうにまた笑う。
くるり、と亜由美は振り向いてにやりと笑う。
「そういう子供が好きだなんて当麻ってロリロリ野郎なんだー」
にやにやして言われて当麻は真っ赤になって叫ぶ。
「天青よりまましだっ。俺は五才の幼児を好きになるほどいかれてないっ」
ふーん、と亜由美は言う。
「当麻と最初に会ったのって私が四つか五つのときなのにねー」
「その時は俺もちびガキだったろうがっ。いい大人で幼児を好きになった覚えはないっ」
必死で言いつくろう当麻に亜由美は言う。
「当麻ってほんとーにかわいい人」
亜由美はころころと鈴を転がしたような声で笑う。
その笑い声を当麻はここちよく聞く。
「かわいいのはお互い様だと思わないか?」
自分も横になると腕をを枕にしながら当麻は言う。
「かもね」
亜由美はまたおかしそうに笑う。
なんだよー、と問うとさらに笑う。笑いながら亜由美は答える。
「当麻がそんなに真っ赤になって言うのはじめてみたような気がする。
今度からロリロリ当麻って呼んであげようか?」
やめろよ、と当麻は嫌そうな顔をする。
「変なあだ名つけるなよ。ただでさえ、くっつき虫やらキス魔やら言われてるんだぞ? それにお前がとっとと大人になってくれれば問題ないんだ」
「誠意努力します。早く大人になって当麻を悩殺してあげる」
最初の言葉をかしこまっていった後、ハートマークを飛ばして言われて当麻は笑う。
「お前が俺を悩殺できるようになるまでに俺はじじぃになるような気がするぞ」
失礼ねっ、と亜由美は口を尖らす。
「こうなったら絶対に早く大人になって当麻を骨抜きにしてやるー」
「楽しみに待ってる」
当麻は答えてまた面白そうにくつくつ笑う。
実際、俺はこいつにもう骨抜きにされているがな、と当麻は心の中で呟く。
かわりに愛をささやく。
「好きだ。愛してる」
私も、と亜由美は答える。
「大好きだよ。めいいっぱい愛してる」
二人はしあわせそうに微笑んで見詰め合う。
しばし、見詰め合ってから当麻は枕代わりにしていた腕を亜由美のほうに伸ばす。
「騒いで疲れたろう? 俺も少し眠るから」
言われて亜由美も手を伸ばす。
手のひらを重ね合わせて指を絡める。
うれしそうな笑みを浮かべた亜由美は静かにまぶたを閉じる。
すぅっと亜由美が眠りに落ちていくのを見た当麻もまぶたを閉じて眠りに身を任せた。

洋間でテレビを皆と見ていた亜由美の姿がないのに気付いた当麻は亜由美を探した。
彼女はリビングの窓から夜空を眺めていた。
「そんなところにつっ立っていると湯冷めするぞ」
当麻が忠告すると亜由美は振りかえる。
「外にいるわけじゃないんだから、いいでしょう?」
不満そうに言ってまた夜空を眺める。
「何、見てるんだ?」
当麻も側に来て一緒に夜空を見上げる。
夏の大三角形が大きく輝いている。
「道しるべのお星様に今日の出来事を報告しているの」
しんみりとした声で亜由美が答える。
「道しるべの星?」
聞いたことの無いような言葉に当麻が首をかしげる。
「私が命名したの。姉様達が光の玉になって今も道を導いていてくれるの。
だから道しるべのお星様なの」
そう言って亜由美は優しく、だが切なそうに微笑む。
「どこにあるんだ?」
当麻が身を乗り出して夜空にその星を探す。
「今の当麻には見えないよ」
亜由美が面白そうに答える。
「って俺だって四神なんだろう? 見えるはずだ」
大きく目を見開いて夜空の星を探す当麻の姿を見て亜由美はくすり、と笑うと当麻の手を取る。
「今、見える様にしてあげるから」
亜由美の手から何か暖かいものが当麻に伝わってくる。
唐突に星図にはない四つの星で出来た道筋が見える。
ふぅん、と当麻はその星達を見つめる。
「一番手前のが天邪鬼の冬玄だな。でもって一番最初が緋影だな。あいつはきっとナイト気取りで」先導しているに違いない。その後ろがお前の姉さんで、そのまた後ろが緋影の後ろをピーピー泣いてくっついている白影だな」
当麻らしい分析に亜由美が噴出す。記憶が無いのにずばりと性格を当ててしまう所が当麻らしい。
「当麻にそこまで言われたら皆、たまんないって。当麻だけがいい顔してたら天誅くらうよ?」
「あんな遠い空から下せるものなら下してみろ」
当麻が挑戦的に言って亜由美は苦笑いする。
「当麻、私の守護人が四人ていうのが気に入らないのね」
当麻はあくまでも亜由美を守るのは自分だけだと思いたいらしい。
図星の当麻はほんのり頬を染めながら不機嫌そうに夜空を眺める。
相変わらずの所有欲と独占欲の現われに亜由美は笑ってしまう。
でも、と亜由美は思う。
当麻のこの強い想いがあればこそ今、ここにこうしていられるのだ。
当麻が再三、引きとめてくれなかったら今ごろきっと惨めな思いをしているに違いない。
「ありがと」
そう言って亜由美は当麻の頬にキスをする。
何がだ?、と当麻は尋ねる。
「当麻のその性格に感謝しているの」
にこにこと笑ってそれ以上言わない亜由美を当麻は不思議そうに眺める。
「沙羅耶って言ったっけ? お前の昔の姉さん。綺麗な人だったんだろうな」
愛らしい亜由美の顔に見とれつつ当麻が言う。
「別に遺伝子的つながりは今の私には無いんだけど?」
今度は亜由美が不思議そうに当麻を見る。
いや、と当麻が首を振る。
「今のお前とかゆも似ているからきっと大昔のお前もそんな顔だったに違いない。
その顔を美人系にしたらきっと綺麗だと思うが?」
言外に自分への誉め言葉が入っているような気がして亜由美の頬は真っ赤に染まる。いきなり、当麻の背中をばしっと叩く。
「誉めちゃってもなんにもでないからねーっ」
「別に特別褒賞をもらわなくてもここに褒美がたんとあるからな」
当麻はすばやい動きで亜由美の唇を奪う。
「もうっ」
亜由美は真っ赤な顔をさらに赤くさせて夜空に目を向ける。
「当麻って一日一回は必ずキスするんだからー」
恥ずかしそうに言いながら亜由美は夜空に光る姉星に向かって心の中で語り掛ける。
私は今日も当麻に愛されています。姉様は今日も幸せですか?
道しるべの星の一つがそれに答えるかのように一瞬、瞬いた。
亜由美はそれを姉の返事だと受け取った。
姉のことを思うとき亜由美の心は切なくなる。
長いときを闇の牢獄の中で過ごし、今また夜の闇に輝いている姉を思うと切なくなる。
「いつか姉様たちの魂も生まれ変われる様にしてあげたい・・・」
切なそうに呟く亜由美の髪を当麻はくしゃっと優しく撫でまわす。
「お前ならきっと出来るよ」