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機動戦士ガンダムRS 第46話 怒りの日

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 ザラ大統領は、もう二度とあのようなことは起きないだろうと考えていた。

         ※

 サオトメが植物観賞用リクリエーションルームに行くとアイリス曹長が掃除機を手にしていた。
「何をしているんだ?」
 サオトメは、アイリス曹長に近づきながら質問した。
「落ち葉がそろそろうっとおしくなったので片づけているんです」
 アイリス曹長は、そういうと掃除機で落ち葉を吸い込んだ。
「手伝おうよ」
 サオトメは、そういうともう1つ備えられている掃除機を手に取った。
「ありがとうございます。
隊長ならそうおっしゃると思ってました」
 アイリス曹長は、笑顔でそういった。
こうして2人は、掃除を始めたが落ち葉は思いのほか多かったが丁寧に掃除をした。
2人は、部屋の隅々までくまなく見て落ち葉が舞ってないか探した。
そして掃除が終わると掃除機のスイッチを切り片づけた。
ごみは、真空パックの中身のように小さく保管され乾ドックに入渠した際肥料として買い取ってもらう仕組みである。
 2人は、しっかり仕事を果たしたが少々時間をかけてしまった。
「これで終わりだな」
 サオトメは、掃除が終わったと感じた。
「はい、お疲れ様です。
隊長って結構お人よしなんですね」
 アイリス曹長は、不機嫌にサオトメに文句を言った。
「どういうこと?」
 サオトメは、アイリス曹長が何を言っているのかわからなかった。
「きっと他の女性でも同じことをしますよね?」
 アイリス曹長は、嫉妬交じりにそういった。
「確かに困ってる女性がいたら助けるけどこんなに丁寧には、やらないさ」
 サオトメの言葉にアイリス曹長は、驚いた。
「ここまでやるのは、アイリス曹長だからさ」
 サオトメの言葉にアイリス曹長は、顔を真っ赤にした。
「もう、ちょっとじゃなくてすごくうれしいです」
 アイリス曹長は、照れながら礼を言った。

          ※


 エンデュミオン基地とローレンツ・クレーター基地から発進した増援と補給部隊が第七機動艦隊との合流ポイントに向かっていた。
「第七機動艦隊との合流点まであと1750」
 しかしこの増援部隊にも補給部隊にも核ミサイルは、搭載していなかった。

          ※

 ドゴス・ギアのブリーフィングルームでは、サオトメの解説が続いていた。
「あれは、連射がきかないのが唯一の救いだ。
おそらく1射毎にこのミラーを交換しなければならないのだろう」
 サオトメは、ジェネシスの欠点を解説した。
「だが本体は、特殊装甲で覆われその前にはヤキン・ドゥーエと何重にも張り巡らされた防衛線だ。
こちらも総力戦で行くがこれは、容易ではないな」
 ブライアン艦長は、作戦達成の困難さを痛感していた。
「ミラーの交換に要する時間は、どれくらいだと思いますか?」
 ミサキ中尉がサオトメに質問した。

          ※

 ヤキン・ドゥーエ攻略隊所属の艦の乗員皆は、出撃のための準備を急いでいた。

          ※

「わからない。
それよりも2射目の照準は、艦隊かそれともコロニーか」
 サオトメは、ミラー交換の所要時間よりも次の照準が気になっていた。
「また核を撃ってきますよね?」
 サウス中尉がサオトメに恐る恐る質問した。
「必ず」
 サオトメは、核を撃ってくると断言した。

          ※

「定刻です、全艦発進準備完了」
 ヤキン・ドゥーエ攻略隊は、再度の攻撃準備が整った。
「発進」
 スクイードの艦長の命令で艦隊は、発進した。
皆の表情は、今度こそという意志の表れだった。

          ※

 それは、アークエンジェルでも確認できた。
「コロニー軍艦隊が進撃を開始します」
 ミリアリア二等兵が報告した。

          ※

 それは、エターナルにも伝わった。
「全艦発進準備。
繰り返す、全艦発進準備」
 エターナルのブリッジに集まっていたキラ大尉とカガリは、それを聞くとエレベーターに乗り込んだ。
「アスラン」
 アスラン中佐も乗り込もうとしたがラクスに呼び止められた。
そしてラクスは、アスランにすり寄ってきた。
「ラクス」
 キラ大尉は、しばし2人っきりにした方がいいだろうと判断し先に下りた。
「これを」
 ラクスは、アスランに指輪を見せた。
一瞬アスランは、ラクスの意図がわからなかったがそれがわかると驚いた。

          ※

 キラ大尉とカガリは、エレベーターから降りるとキラ大尉はモビルスーツ発進デッキにカガリはモビルスーツ着艦デッキに急いだ。
カガリは、キラ大尉を見ていた。
「何?」
 キラは、怪訝にカガリに質問した。
「いや、今度は私も出られる。
パーツのまま持ってきたストライクルージュがどうにか間に合った」
 カガリは、今度は自分も出撃するといった。
これには、キラも驚いた。
「じゃあな」
 そういってカガリは、別れようとした。
「ちょっと待てよ、カガリ」
 しかしキラは、カガリの腕をつかんだ。
その行動にカガリも驚いた。

          ※

 ラクスとアスランは、エレベーターに乗った。
「ありがとう」
 アスランは、ラクスの思いに感謝した。
「帰ってきて下さいね、私の元に」
 ラクスは、アスランにお願いした。
「ああ」
 アスランは、力強くうなずいた。
そしてエレベーターが開いたのでアスランは、エレベーターを降りようとした。
「アスラン」
 アスランは、ラクスの声に立ち止まり振り返ると接吻した。
「ラクスも気を付けて」
 アスランは、そういうとモビルスーツデッキに向かった。
「アスラン」
 ラクスは、その背中を見送るしかできなかった。

          ※

「出るってストライクルージュ?」
 キラは、頭の整理ができていなかった。
「なんだよ。
モビルスーツの訓練は、受けている。
アストレイの連中より腕は、上だぞ」
 カガリは、自分の心配など必要ないと訴えた。
「いや、だけど」
 それでもキラは、カガリが心配だった。
「出来ること、望むこと、すべきこと。
みんな同じだろ?
アスランも、キラも、ラクスも。
私もさ」
 カガリは、自分が戦場に行く理由を述べた。
「カガリ」
 キラは、カガリの精神的な成長を感じていた。
「戦場を駈けても駄目なこともある。だが今は、それが必要だろ?」
 キラは、カガリの言葉に反論したかったができず心配な表情を浮かべた。
「そんな顔をするな。
私よりお前の方がよっぽど危なっかしいぞ?」
 カガリは、手を振りほどきながらそういった。
キラは、そういわれて驚いた。
「死なせないから、皆」
 カガリの意志は、固かった。
「じゃあな」
 カガリは、そういうとモビルスーツ着艦デッキに向かっていった。
キラは、そんなカガリの後ろ姿を見送るしかできなかった。

          ※

 サオトメは、マン・マシーンデッキに向かっていると腕を引っ張られ下士官室の1室に引き入れられた。
引っ張ったのは、アイリス曹長だった。
アイリス曹長は、必死に恐怖を振りほどこうとサオトメに抱き着いていた。
「怖いか?」
 アイリス曹長は、無言でうなずいた。