魔法少年とーりす☆マギカ 第一話「ラピス・フィロソフォラム」
ますます機嫌を損ねる。 フェリクスがこのように、訳の分からない事で機嫌をころころと変えるのはままある事だ。 高そうな宝石を学校に持っていけ、と言われてもそうイエスと答えられないが、実は見た目ほど価値のないものなのか。 仕方なしにトーリスは先ほどの鞄に、ハンカチで包んだ卵型の宝石を丁重に詰めた。 同じように何日かやり過ごせば、フェリクスもきっと気が済んで口を挟まなくなるだろう。 今までもそうだったのだから。 それを目にフェリクスは案の定満足げに、慈悲深い女王のように大人しくなった。 鞄の口が開いたままな事にも彼は気付かない。 急いで学校に行かなければ。
作品名:魔法少年とーりす☆マギカ 第一話「ラピス・フィロソフォラム」 作家名:靴ベラジカ