二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
靴ベラジカ
靴ベラジカ
novelistID. 55040
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

魔法少年とーりす☆マギカ 第二話「ホープ・ダイヤモンド」

INDEX|3ページ/6ページ|

次のページ前のページ
 

 ほんの僅かに、前のこと。
エメラルド、サファイア、ルビーにオパール… トーリスとフェリクスは集合場所のくだりも忘れ、宝石図鑑に埋もれながら、黙々と調べ物を続けていた。 男子中学生が思うよりも遥かに、宝石の世界は奥深い。 ある宝石について調べると、ある有名な一品の名が目に入り、一品について詳しい情報を求め、また別の本を読み漁る… 知識のるつぼに嵌った彼らは、椅子もなしに分厚い書物を読み耽り、朝の騒ぎも、床に座り続けた腰の疲れも忘れ、真新しいスポンジのような頭脳に使い処の無さそうな知恵を吸い取っていく。 本棚の一角を空にして、最後の一冊を手に取ろうとしたその時、トーリスは奥の異物に気がついた。
 「? なんな… ん」
最後の一冊をそっと退けた途端、フェリクスの表情は凍りついた。 両端が張り出し、金属質な銀色の、煤けた枠に包まれた黒い石。 頂点には桜の花の様なシンボルがあしらわれ、底面である筈のもう一端は針状に尖っている。 石はてかりも輝きもしない。 今し方図鑑で見たばかりの、黒曜石、或いはジェット。 それらに似た質感だ。 重心が高く、本来なら石諸共倒れているであろう飾り枠が、当然だと言わんばかりに直立している様は、この代物の異質さを言わずとも語っている。
 「これ? これがどうかしたの」
平然と手に取る。 そんなトーリスを見たフェリクスは思索に、言葉に詰まり、結局、
「爆弾、みたいなもん」
 「はぁ!?」
当然、彼は投げ捨てる。 少年達の心に安堵が訪れるより前に、それが床に到達するより前に、見た事も無い、
しかし既視感のある魔性が、あたりを、彼らの世界を、支配した。