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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 21

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「なるほど、青はリフレッシュ、赤はアングリー、紫はサンダーボール、というのですね……、とっ!」
 イワンは電気の輪を足元に集中させ、それを足場に変化させてその上に乗った。
『フロート!』
 イワンの掛け声と共に、足場は浮かび上がった。
 イワンに体当たりをしかけていた、アングリーボールとリフレッシュボールは出会い頭に衝突し、アングリーボールの起爆力によって二つとも爆ぜた。
「ロビン、伏せてください!」
 イワンは振り返り、ロビンの方へ向けて電撃を放った。
「おわっ!?」
 ロビンは驚いたが、電撃が迫る瞬間と同時に屈んだ。そしてロビンの背後で、バチバチと電気が弾けたと思うと、どさっ、と音を立てて何かが地に落ちる。
 ロビンが振り向くとそれは、背後からロビンを襲わんとしていた、紫のサンダーボールであった。
「随分姑息な手を使いますね。ボクを狙う振りをしながら、ロビンに攻撃しようとするなんて……、っと!」
 イワンは電気の足場から降りて、頭から被るように、足場をもとの光輪に戻し、身に纏った。
 シレーネは忌まわしげに、ぎりっ、と歯噛みする。
「なめるなぁっ!」
 シレーネは数えきれぬほどの光球を、弾丸のように撃ちだした。
「ロビン、下がって!」
「あ、ああ! うわわっ!?」
 光球は壁や天井にぶつかると、もとの大きさからは想像できないような爆発を、あちこちで起こした。
 破壊された壁の小石が、ロビンに飛んできた。ロビンは堪らず岩陰に身を隠す。
 しばらくして、小石の雨が止んで、ロビンはそっと岩陰から身を出して周囲を見渡した。
 爆破された壁や天井に、いくつもの窪みができており、粉塵が辺りに立ち込めている。
「い、イワン!」
 ロビンは叫んだ。
「あいつめ、無茶苦茶な攻撃しやがるぜ……」
 隅で二人の戦いを傍観していたジェラルドが呟く。
「ハア……、ハア……」
 シレーネは、怒りのままに魔法を使った反動で、息切れを起こしていた。
「そんなに息を切らして、どうしたのですか?」
「なんですって……!?」
 シレーネは驚きのあまりに目を見開く。
 イワンは、パリパリと弾ける、青い電撃のオーラを纏っていた。このオーラによって、シレーネの魔法球乱れ撃ちを凌いだのだ。
「そんな小技では、ボクに傷ひとつ与えられませんよ」
 イワンは煽るように言う。
「……それに、あまり怒ると皺が増えるのでは?」
 この一言で、シレーネをぎりぎり押さえ付けていた感情が爆発した。
「あたしをバカにするのもいい加減になさい! いいわ。どうやらそれほどまでに死にたいようね。だったらお望み通り、殺してあげるわ! そう、ギアナ村の民のようにね!」
「これはまた、随分怒り心頭ですね……。あなたから伝わってくる思考も怒りだらけです。しかし、ボクが感じた怒り、悲しみに比べれば、子供が駄々をこねているのと同じ……」
 イワンは、電撃のオーラを光輪の姿に戻し、電気の一部を手の上で弄ぶ。
「この力は、ボクが感じた怒りによって生まれた、悪魔を滅する力。悪魔に与する者も同様です。スターマジシャン、シレーネ。覚悟は、よろしいですね?」
 イワンは今、最初ここへ来たときと違い、静かな怒りを持っている。そして情けの感情など一切ない。
 容赦ない反撃が、今まさに始まろうとしていた。
『コンセントレイト!』
 イワンは、刀に自身が纏う電気を集めた。そして一気にシレーネとの間合いを詰める。
「やあああ……!」
 イワンは高速にして連続の突きを放った。イワンが突きを放つと、剣先からいくつもの電撃の針が飛び、一点に集中した。
「アングリーゼファ!」
 イワンの内なる激しい怒りを表すかのように、その攻撃は敵の急所一点のみを狙う、執念の刺突であった。
「うぐぐ……、がはっ!」
 シレーネは集中攻撃を受け、出血する腹を抑えながら、口からも血を出した。致死量に近いダメージを受けていた。
『ミスティック、コール……!』
 シレーネは震える手で魔法のボールを召喚した。現れたのは、リフレッシュボールである。
「今さらそんなもので何をするつもりですか?」
 イワンは悪足掻きとしか見ていなかった。
『アーネスト・プライ……』
 シレーネが詠唱すると、リフレッシュボールは青く光り、イワンから受けた深傷を治癒した。
「回復エナジー、それも高位のやつだ!」
 ロビンは驚き、叫ぶ。
「イワン、あぶない、退くんだ!」
 シレーネは回復してすぐに、群青のボールを氷柱に変え、イワンを切り裂こうとした。
「……っく!」
 自身のとっさの判断と、ロビンの声により、イワンは間合いを開けたが、氷柱が僅かに頬を掠めた。
「まさか、あのボールでエナジーが使えるなんて……!」
 イワンは頬を擦った。ぴりっ、とした痛みを感じると、手には血が付いていた。血の付いた掌を上着で拭う。
『ミスティック・コール!』
 シレーネはボールを召喚する。今度はボールを、一度に三つ出現させた。最初に呼び出したボールと違い、全て赤のアングリーボールである。
 シレーネはアングリーボールを操り、三角形を作った。
『バーストボム!』
 三角をかたどったボールが、イワンの足元に向かってきた。そしてあたかも、ボールは爆弾のように爆発した。
『ハイ・レジスト……!』
 爆発する寸前で、イワンは防御壁を作った。あと少し遅かったら、脚を吹き飛ばされていたほどの威力である。
 シレーネが手をぐっ、とあげると、三角形を作るボールは手元に戻っていった。
「こ、ぞう……!」
 シレーネはくぐもった声を上げ、頭を大きく振った。その反動で三角帽子が落ち、シレーネのプラチナ色の髪が乱れる。
「殺してやる……! もう容赦しないわ。死にさらせ!」
 シレーネは、振り乱した髪の隙間から、イワンを睨んだ。そして魔力を増幅させ、三角を作るアングリーボールに放出する。
 アングリーボールは高熱を持ち、その赤い表面は、陽炎すらも発するほど朱に輝いていた。
「アングリーマイン!」
 シレーネは、灼熱の塊と化したボールを放った。
 防御などとてもできない。ボールは触れたもの全てを消し飛ばさんとする、まさに爆弾になっていた。
 しかし避けたところで、ボールが引き起こすであろう大爆発により、術者であるシレーネを除き、その爆炎に包まれるであろう。
「くそう、こうなったら、迎撃するしか……!」
 イワンは前に手をかざした。
「何してやがる、伏せろ!」
 イワンの目の前に、ジェラルドが駆けつけ、仁王立ちした。
「ジェラルド!?」
 ジェラルドが駆けつけ、アングリーボールが爆発したのは、本当に一瞬であった。
「ぐううっ……!」
 ジェラルドは歯を食い縛り、魔術を無効化する体で、大爆発を抑え込んだ。爆炎はジェラルドの前で無となり、ボールの爆発するためのエネルギーも消えていく。
 やがて、アングリーボールの爆発は止まり、ジェラルドの立つ地面を焦がして消えた。
「チイッ!」
 シレーネは目を剥き、歯が欠けそうなほど強く、がりっ、と歯噛みした。
 同時にジェラルドが地に膝を付いた。魔法は効いていないはずであるが、ジェラルドはかなり苦しげな表情を浮かべている。
「ジェラルド!」