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二人の歩き方

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幸せにしたい
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家の近くまできたところで
「あっ馬村先輩!」

と声をかけられる。

詰め襟の制服の男の子だった。


「お前…えっと確か…」

「佐々木です!サッカー部だった。」

「ああ、犬飼の後輩の佐々木。」


ふーん、犬飼君の後輩かぁ。

「久しぶりです!
俺、今度先輩達と同じ高校に入学して。」

「へぇ。よろしくな。」

「はい!よろしくお願いします!
その人…先輩の彼女さんですか?」

「え?あっ。」

すずめの手をずっと引いてたことに気づいて
バッと手を離す。


「さすが馬村先輩の彼女は
キレーですねぇ!
でも先輩に彼女って意外でした!
モテてたのに彼女作らないから
もったいないと思ってたら、
先輩、面食いだったんですね。」

と佐々木はすずめをジロジロみる。

「ちがっ!これは…」

化粧でいつもの5割増しくらい
女子力高く見えるすずめを、
さっと自分の後ろ手に隠した。

「いいじゃないですか~
キレイだからってそんな隠さなくても。」

佐々木は悪いやつじゃないみたいだけど
こういうとこが嫌だ。


「彼女さんもその制服、
同じ高校ですよね?
よろしくお願いします!」

「あ、与謝野すずめです。よろしく。」

「すずめ?!珍しい名前ッスね!
ははっチュンチュンとか言われないっすか?」

「えっ」

ドキンとした。

獅子尾のことを思い出して、
というより、
そう言われることで、
馬村に嫌な気持ちを思い出さないか
気になるのだ。

馬村に安心をあげたいのに。

「やめろ。」

チラッと馬村のほうをみると
苦い顔をしている。

どうしたら笑ってくれる?

幸せにできる?


モヤモヤする。


「わかってるから。」

馬村がこっちをみてポツリと言った。

「全部俺が小さいせい。」

俯いてまたポツリ。

「え?」佐々木が聞き返す。

「あっ俺もう行かないと。
じゃあ、先輩。また学校で。」


佐々木と別れてまた歩き出した。

なんとなく沈黙。

なんか、なんか言いたい。

「お…おっきいよ!」

突然すずめは叫んだ。


馬村はビックリして目を見開いている。


「馬村はいつも私のことわかってくれるし、
いっぱい包んでもらってる!
小さくないよ?」


「え…」


「私は馬村にもらってばっかりで、
なのに傷つけてばっかりで、
でもなかったことになんかできないし、
どうしたら幸せにできるの?!」

目の周りを真っ赤にして
すずめは馬村の目を見据えた。

「………」


しばらく考えてるような顔で
馬村は無言になった。


「………………」


「馬村?」


「わかんねえ。
幸せな筈なのに
他の男が近づいたり
お前の良さに気づいたりしたら
すげぇ不安になる。」


「私モテないよ?」


「知ってる」


「…だよね。」




「でも俺が。」

「俺がお前がいないとダメなんだ。もう。」

「前はお前が幸せだったら
身を引いてもいいとか思ってたけど、
もうどんなヤツが出てきても引けない。」

さっきは真っ赤になって
俯いてた馬村が、今度は
まっすぐ目を見てそう話す。

ふっと目を逸らして

「はっ重っ」

とつぶやいて、

「俺、今何言った?」

と、また顔をみるみる赤くして

「あーっ」としゃがんで
頭をガシガシ掻いた。

「恥!」

「でもそれだけはマジだから。」

上目遣いに言われドキッとした。


「私だってもう無理だよ!」

「どんな可愛い子が出てきたって
もう馬村がいないとか離れたらとか
想像できないから。」


そう言うと急に
すくっと馬村が立ち上がり、
またすずめの手をひいて
歩いたかと思うと
すずめの家の玄関まで入って

「おじさん、いない?」と確認した。

「この時間はカフェだけど。」


と返事をしたと同時に
馬村の顔が近づき、キスをされた。

いつもの優しい感じじゃなく、
激しく。


作品名:二人の歩き方 作家名:りんりん