二人の歩き方
あったかいんだからぁ。
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「んっ、ん」
貪るようなそれは、
馬村の不安を消そう消そうとしてるようで、
すずめも一生懸命それに応える。
どれくらいそうやってただろうか、
ようやく唇が離れ、ふと見ると
すずめはハァーッツハァーッと息が上がって
顔が真っ赤になってた。
「ぶはっ!」「悪ぃ…」
でも馬村の顔は満足気で
満面の笑みを浮かべてた。
笑った!
馬村のこの顔好きだなぁ。
すずめは嬉しくて思わず抱きついた。
「わっ!」
「まむ…」
「大輝」
「えっ」
「って呼んでいい?」
「えっ…いいけど。」
それだけ?
でもそっけない割に馬村は嬉しそうだった。
わかりにくいけどわかりやすいなぁ。
そんな風に思いながらすずめは
「大輝、大好きだよ。」
と言って馬村の胸に頭をグリグリ押し付けた。
「待て待て待て待て!」
バッと体を離される。
「嬉しいけどこれ以上は本気でヤバイ。」
「続きはまた今度!じゃーな!後でメールする。」
といってバタン!とドアを閉めて
出ていかれてしまった。
「続き??」
えーと、取り残された
この手の立場は…?
ふっ。
クスクスクスと
笑いが止まらなくなった。
嬉しいけど?嬉しかったんだ。馬村。
すずめは数日思い出し笑いをして
おじさんに気持ち悪がられるのは
その後の話。
やっぱり馬村といると
あったかい気持ちになるなぁ。
選んだことが
間違いじゃなかったって思えるのは
初めてのことかもしれない。
それが馬村でよかった。
いっぱい思いを伝えて触れ合えば
不安は解消するのかもしれない。
すずめはそう思った。