機動戦士ガンダムRS第48話 終わらない戦争
(でもそれができたわ。
とても素直にあなたが見えた)
フレイは、「友人」としてキラと接することができたことが幸せだった。
「僕は」
キラは、フレイを護れなかった罪を感じたのかうつむいた。
(だから泣かないで)
フレイは、キラの最後の記憶を泣き顔として残したくなかった。
「畜生。
僕は」
キラは、嗚咽のせいでうまく言葉が紡げなかった。
(あなたは、もう泣かないで)
フレイの幻影がキラに近づいた。
「君たちを護れなかった」
キラは、フレイを護れなかった罪とサイの未来を壊した罪を感じていた。
(護るから。
皆の想いがあなたを護るから)
そういいながらフレイの幻影がキラの近くで消えていった。
キラは、ストライクアヴェンジャーの爆風で飛ばされていたフリーダムガンダムの体勢を正した。
そしてSEEDを覚醒させるとガンダムサイガーを追撃した。
※
ヤキン・ドゥーエでは、激しい砲撃戦が繰り広げられていた。
ヤキン・ドゥーエに接近している1隻のサラミスがヤキン・ドゥーエの対空砲火で撃沈された。
1機のガンダム量産機がユーピテルツヴァイにビームライフルを撃ったが回避され逆にビームライフルの攻撃を受け撃墜された。
1機の新型モノアイ量産機は、シールドでコックピット部分を防御しながらビームライフルを撃っていたが頭部にビームを受けその衝撃でコックピット部分ががら空きになってしまった。
そこにビームライフルの直撃を受け撃墜された。
※
η艦隊は、弾幕を張りながらコロニーレーザーもどきに接近していた。
「コロニーレーザーもどきが射程距離に入ります」
ロンバルディアの砲術長がグラハム艦長に報告した。
「特殊装甲は、ビームには耐性がない」
グラハム艦長は、ガンダムとの戦闘経験上そのように結論づけていた。
「主砲、撃て」
グラハム艦長の命令でアレキサンドリア、アル・ギザとロンバルディアは一斉に主砲を撃った。
しかし特殊装甲は、ビームを弾いた。
その光景に3隻のブリッジにいた皆が戦慄した。
「クソ、厄介な物を作りやがった」
グラハム艦長が悪態をついた。
※
「ジェネシス外装70、相転移変動率」
ヤキン・ドゥーエでは、ジェネシスへのダメージが報告されていた。
ドミニオンの撃沈によるアズラエル大統領の戦死も報告されており皆の士気は、低下していた。
「あんなナチュラル共の艦ごときさっさと沈めんか」
ザラ大統領は、η艦隊の艦を撃沈できない自軍の攻撃の薄さにいらだっていた。
「勝てるのでしょうか」
側近が思わず弱音を吐いた。
「急げ。
照準入力開始。
目標、サイド3、ユート・シティー」
ザラ大統領は、攻撃目標を報告した。
「間に合うか?」
側近は、ジェネシス発射まで前線が維持できるか不安だった。
※
ソーラ・システム防衛艦隊では、ソーラ・システムの準備が着々と進んでいた。
「ヤキンを消滅させコントロールを潰す」
この時コロニー軍は、コロニーレーザーもどきの発射阻止のため2つの作戦を用意していた。
1つは、ヤキン・ドゥーエを消滅させコントロールを奪い発射を阻止する。
もう1つがコロニーレーザーもどきに突入して内部の核燃料を取り出し無力化する。
この2つの作戦は、同時進行で行われておりどちらか一方が失敗してももう一方で補えるようにしている。
※
アスラン中佐とカガリは、ジェネシス攻略のため接近していたη艦隊に接近しようとしていた。
「ジェネシス防衛のためにもあの艦隊をつぶすぞ」
アスラン中佐は、カガリに命令した。
※
それは、エターナルでも確認できバルトフェルド艦長は息をのんだ。
「アスラン」
ラクスは、婚約者を心配した。
※
「時間がない。
行くぞ」
アスラン中佐がカガリに声をかけた。
「うん」
カガリもわかっていた。
※
「アスラン。
カガリさん」
ラクスは、2人の心配をした。
「大丈夫だ、任せろ」
ストライクルージュから通信が開きカガリがラクスを安心させた。
「M1、キクチ機、カナ機、カガリ様の援護を」
キサカ艦長がM1アストレイに命令を出した。
※
それは、1機のガンダム量産機をメガビームライフルで撃墜したサオトメも確認した。
※
それは、エターナルでも確認できた。
「ガンダムサイガー接近。
ブルー52、チャーリー」
その報告にラクスとバルトフェルド艦長が戦慄した。
※
「君の声は、嫌いではなかったがね」
そういうと迎撃に来たオーブ量産型ガンダムを2機目を次々にすれ違いざまに左手に持たせたカスタム・ビームザンバーで上下真っ二つに切り撃墜した。
さらに大型V.M.B.Rで3機をたった1射で一瞬で撃墜した。
※
「回避。
取り舵」
バルトフェルド艦長が大声で叫んで命令した。
「間に合いません」
ラクスは、回避が間に合わないと悟った。
※
「だが世界は、歌のように優しくはない」
そういうとオーブ宇宙戦艦とドゴス・ギアもどきにメガビームライフルとV.S.B.Rをそれぞれに一斉に撃ち命中させた。
※
その衝撃は、ブリッジを襲った。
「クソ」
バルトフェルド艦長は、最期を覚悟した。
※
キラ大尉は、ガンダムサイガーに向けルプスビームライフルを2発撃ったが回避された。
ガンダムサイガーもビームライフルで反撃したが回避しまたルプスビームライフルを撃った。
「貴様は、貴様だけは」
キラ大尉の感覚は、研ぎ澄まされており「分身」したガンダムサイガーのオールレンジ攻撃を回避すると2回的確にルプスビームライフルをガンダムサイガーに撃った。
しかしシールドで防がれた。
ガンダムサイガーは、ビームライフルを連射していた。
「いくら憎もうが過去は、変えられないぞ」
通信からサオトメの声が響いた。
キラ大尉は、巧みな操縦でガンダムサイガーのオールレンジ攻撃を回避し続けながらルプスビームライフルで反撃するもことごとくシールドで防がれてしまう。
※
「ジェネシス照準。
目標、サイド3、ユート・シティー」
ヤキン・ドゥーエでは、オペレーターが攻撃目標を入力した。
※
リード中将は、2機のジンをダブルメガビームライフルで連続撃墜した。
ハイパービームザンバーを左手で抜刀させると1機のジンに接近し上下真っ二つに切り撃墜した。
さらに2機のジンに追撃した。
1機をハイパービームザンバーで上下真っ二つに切り撃墜すると1機のジンをダブルメガビームライフルで撃墜した。
そして1機のシグーに接近するとコックピット部分をハイパービームザンバーで貫き撃墜した。
※
ガンダムサイガーとフリーダムガンダムは、互いに切り合ったが矛先が交わることはなかった。
作品名:機動戦士ガンダムRS第48話 終わらない戦争 作家名:久世秀一