機動戦士ガンダムRSD プロローグ1
プロローグ 第二話 本編までの経緯
南アメリカ独立戦争
C.E.71年11月前年の2月に大西洋連邦によって併合されていた南アメリカ合衆国が大西洋連邦からの分離独立を宣言し勃発した紛争である。
南アメリカ合衆国は、ストライクダガーを主力としたMS部隊を保有しており大西洋連邦はそれに対する形でコロニー制圧部隊として待機していたダガーLを中心とした大部隊を派遣した。
主戦場に南米の森林地帯が含まれるため政治的な理由によりMSの火力には、制限があり戦局は局地戦に終始し装備もソードストライカーなどの近接戦装備に限定される事になった。
地球連合軍のトップエース「切り裂きエド」ことエドワード・ハレルソンが乗機ストライクEと共に連合を脱走・南アメリカ軍に合流した事で一躍マスコミの注目を集め地球連合軍もエースパイロットであるモーガン・シュバリエとレナ・イメリアをエドワードの刺客として投入しその対決をエドを主人公にしたニュースショー的な報道がされた。
その後南米で修行していたバリー・ホーやエドワードに敗れ和解したジェーン・ヒューストンも南アメリカ軍に加勢した。
また紛争末期には、コロニー軍がスウィート条約の批准を名目に介入していた。
紛争は、スウィート条約締結まで続きそれにより南アメリカ合衆国の独立自治が認められた。
ただしパナマ基地は、引き続き地球連合軍の勢力下に置かれた。
また南アメリカ合衆国政府は、地球連合に加盟している。
なお紛争以前から駐留していたコロニー軍の監視部隊は、条約施行により撤退した。
スウィート条約締結
C.E.72年3月10日地球連合とコロニー間に停戦条約としてスウィート条約が締結された。
地球連合側は、宇宙における最重要拠点のプトレマイオス基地など戦力の大半をで失いまたコロニー攻撃の要にあったジェネシスの破壊とピース・メーカー隊の全滅したことによって停戦へと傾いた。
一方コロニー軍側も国力が底を尽きかけていたため講和会議が開催されることとなった。
会議は、南アフリカ統一機構の首都ナイロビで行われ「ナイロビ講和会議」と呼ばれるようになる。
コロニー連邦共和国は、地球連合に対し「国家としての」独立と引き換えに軍事力の放棄を迫るが地球連合は断固として拒否した。
会議は、その後数ヶ月に及びその間に南アメリカ独立戦争が勃発する。
会議が進展しない中スカンジナビア王国外相リンデマンが一つの提案をした。
「地球連合の国力に応じた軍事制限」を基本とする「リンデマン・プラン」である。
とりわけ人口が大きなパラメーターとなるために地球連合側が有利(制限が有っても無くても国力や兵器保有量は、地球連合が大となる)となっている。
コロニー側には、不利に見える内容であったが技術的な自信やその他の部分で地球連合側の譲歩を引き出させた事とさらに前大戦の悲劇の地であるスウィート・ウォーターで条約締結が結ばれる運びとなり条約を受け入れる事になった。
条約では、地球国家の国境線をコズミック・イラ70年2月10日以前へ戻す事やニュートロンジャマー影響下においても核兵器の使用を可能とする「ニュートロンジャマーキャンセラー」や大量殺戮兵器ジェネシスの隠匿に使用された「ミラージュコロイド」の軍事利用を禁止し人口、国民総生産、失業率といった地球連合の国力を基準に戦艦やMSの生産・配備数の制限を設ける等の軍縮規定などが制定された。
この条約により大西洋連邦に併合されていた南アメリカ合衆国の分離独立が認められオーブも自治権を回復した。
コロニー連邦共和国はカオシュン基地、トリントン基地とアーティ・ジブラルタル基地の引き続き駐留が認められた。
戦力数からも地球連合に有利な条約でコロニー側には不利ではあったが戦火が拡大する起点地でもあるスウィート・ウォーターで条約が締結されたことによりコロニー連邦共和国の面目は、保てるとのことで締結された。
しかしながら多くの犠牲を払った大戦が終結した後も両者の間のわだかまりは消えず地球連合は、大西洋連邦のアーヴィング大統領が任期切れとなり直後の大統領選挙でギルバート・デュランダルが大統領に選出される。
またコロニー側が不利となったこの条約の締結に合意したために国内から批判を浴びたダイソン政権は、総辞職した。
ちなみにこの頃から両者共に戦力を再編し新型MS・MA・MMの開発など次の開戦に向けて準備を始めている。
条約案
・地球連合はリンデマン・プラン(スカンジナビア王国外相リンデマンの提案)の遵守:モビルスーツ、モビルアーマー、戦艦の数は人口、GDP、失業率等のパラメーターにより算出される。
・双方賠償金はなし。
・戦争犯罪人は、国家ごとに独自に裁判にかける(国際法廷は開かない)。
・地球連合は、コロニー連邦共和国の主要都市の支配を認める。
・地球連合は、リンデマン・プラン遵守の査察を無条件・無制限で受け入れる。
・MS等の兵器へのニュートロンジャマーキャンセラーの搭載禁止。
・ミラージュコロイド技術の軍事的使用を禁止。
・コロニー連邦共和国は、地球連合のアルザッヘル基地を建設を容認すること。
・地球国家の国境線および国家を戦前のコズミック・イラ70年2月10日の状態に復旧する。
条約により地球上に展開していたコロニー軍は、アーティ・ジブラルタル基地やトリントン基地などの多くの拠点で支配することが認められる事になった。
また地球連合の監視下にあったオーブ連合首長国及び南アメリカ合衆国は、条約の発効により独立国家へと戻っている。
軍事面
条約によりMSの配備数が制限された事で以前にも増してMSには、多用途性が求められるようになり大西洋連邦では装備の換装や変形によりさまざまな状況に対応可能な「ニューミレニアムシリーズ」や「セカンドステージシリーズ」と呼ばれるMS群の開発が進められた。
またトランスフェイズ装甲の発展版としてヴァリアブルトランスフェイズ装甲が開発された。
ユーラシア連邦は、ストライクガンダムの武装換装システムを引き継いだ廉価量産機ダガーLやさらにストライクガンダムと同等の性能を維持した完全量産機ウィンダムを開発した。
また単機の攻撃力を極限まで高めた大型機動兵器を主力とする構想の元でザムザザーを初めとした大型MAを次々に開発した。
作品名:機動戦士ガンダムRSD プロローグ1 作家名:久世秀一