Who cares ?
これほど罵られたと言うのに、ここまでに自分が切れてしまわなかったことのはもはや奇跡に近かった。いつもと違う憎む相手を目の前にしているからかもしれない。
兎に角、今をありふれたくだらぬ日常と同じと考えてはいけなかった。どちらも己を見失っていた。
ふっと毒舌が途切れる。その頃には既に臨也は泣きそうなまでに顔を歪めていた。
「さい、あく、だ……っ!」
ぽろりと一粒涙を零しながら突きつけてきた言葉は、静雄の中の何かの線をぷつりと切った。
作品名:Who cares ? 作家名:佐和棗