ずっと一緒に…
式が終わって、
カフェに会場を移した。
カメちゃん製作のドレスは
もったいないので、
そのままカフェでも着ていた。
こんな素敵なドレスを
式だけでお色直しなんて勿体無い。
料理は大好きな魚介メニューを
おじさんと母ちゃん、カメちゃん
が腕を振るってくれた。
立食形式のバイキングで、
バクバク食べて、母ちゃんに
「すずめ!お嫁さんは
そんなに食べないものよ!」
と怒られてしまった。
こんな大好物ばかり並べられて
食べない方が無理ってもんだ。
半泣きのすずめを見て、
大輝の父が
「まぁまぁ与謝野さん。
そんな形式ばった式でもなし、
私はすずめさんの食べっぷりが
好きですよ。」
とフォローしてくれた。
「お義父さんん~~」
すずめは大輝の父の優しさに
感動してしまった。
大輝の優しいところはきっと
お父さんに似たんだろうな。
「やっうちは男家族だから
すずめさんに義父さんと呼ばれると
感激だなぁ。娘ができたみたいで。」
赤くなるとますます大輝に似ている。
「何言ってんだよ、父さん。
すずめはもう嫁なんだから娘だろ!」
大地が突っ込むが、
「オマエはお義姉さんと
呼ばないとダメだろうが!」
と大地は後ろから大輝に小突かれた。
「なんだよ、すずめはすずめだろ?」
「いいよ、大地はそれで~~。」
すずめも一人っ子なので、
義姉さんと呼ばれるのもくすぐったい。
談笑していると、
「すずめちゃん、綺麗だよぉぉ。」
感動して泣いてるのは
カメちゃんとツルちゃんだ。
「カメちゃん、こんな素敵なドレスを
本当にありがとう!!
時間かかったよね。」
「ツルちゃんも、
綺麗にメイクしてくれて
ありがとうね。」
「いやぁ、すずめちゃん、
すごいスタイルいいし、肌綺麗だし
うちらもやりがいあったよ。
ね?ゆゆか!」
「まぁまぁってとこね。
ガツガツ食べてこぼしてるのが
気に入らないけど。」
あ、ドレスに少し油染みができてる…。
「あれ?アハハハ。」
「まぁ、一生に一度しか着ないんだし、
油染みだって思い出よー。」
と作った本人のカメちゃんが
ガハガハ笑い飛ばしてくれた。
「やあ、すずめちゃんが
こんなに綺麗な花嫁さんに
なるなんてなぁ。
こりゃ選択間違ったかな。」
要らんことを言って、
ゆゆかちゃんにドスッと
お腹を殴られているのは
相変わらずの土牛先輩だった。
「先輩、来てくれて
ありがとうございます。」
懐かしの顔ぶれのオンパレードで、
本当に同窓会のようだった。
「オレの作ったケーキ、ヤバくね?」
猿丸は自慢げに話すが、
「何言ってんのよ。誰が今どき
あんな背の高いウエディングケーキを
注文すんのよ。空気読みなさいよ。」
猿丸が作ったケーキは
一昔前の芸能人の結婚式のように
三段くらいの高さがあって、
上に新郎新婦の飾りがついていた。
「ウエディングケーキったら
アレだろうがよ。
パティスリーサルマルの技術を
駆使して作ったんだぜ。」
カメやツル達に文句言われながらも
まったく堪えてなかった。
「ツバメちゃん。」
後ろを振り返るとつぼみだった。
「つぼみさん!!」
「ちょうど日本に帰ってきててさ。
諭吉に頼まれたの。
式や披露宴の写真撮ってくれないかって。
向こう一年、カフェのタダ飲食できるのよ。」
いろいろあってあまり
つぼみのことは好きではなかったが、
写真の腕は一流である。
「昔いろいろ傷つけちゃったし、
お祝いとお詫びの気持ちも込めてね。
素敵な写真集にしてあげるから!」
すごく楽しみだ。
「あ、五月もいたよ。
向こうで女子に囲まれてたけど。」
「え…」
先生、来てくれたんだ。
入口の方で、教え子達に囲まれ
「先生変わってなーい。」
「今どうしてるんですかぁ。」
とキャアキャア言われていた。
目線だけが合って、
獅子尾はすずめの顔を見て微笑んだ。
先生の笑顔、変わらない…。
そこに大輝がきて
「すずめ!そろそろ…」
と声をかける。
「あっわかった。」
慌てて持ってた食器などを下げる。
「?なにかするの?」
不思議そうにツルちゃんが尋ねる。
「うん。順番にいくから待ってて。」
すずめは答えて、
大輝の方に走っていった。