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再会

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カランカラン、と店内に入ると、

すでに犬飼は壁際の席に座って待っていた。


いつも二人でよく利用していた席だった。


「ごめん。待たせたね。」


「いや、先に飲んでた。」


昼はカフェだが、
夜はお酒も出すバーになる。

「じゃあ、私も飲もうかな。」


モニカはモスコミュールを注文した。


「今日、誘ってくれてありがとう。」

モニカがそういうと、


「俺のほうこそ。
 断られると思ったからうれしいよ。」


犬飼が微笑ながら言った。


少しの沈黙のあと、


『あのっ...』


2人で同時に話し始めたので、
顔を見合わせて笑ってしまった。


「先にいいよ。」

犬飼が言うと、
モニカは言葉を選びながら話し始めた。



「私、ね、今、同じサロンの店長に
 付き合わないかと言われているの。

 仕事熱心で、尊敬できて...
受けようかと思っているの。」


「え...。」



こんな話をして、私は学に何を言わせたいのか。


モニカは自分でもわからずに話し始めていた。



「だから、あの...」


その後の言葉が続かなかった。


「その人のことが好きなんだ?」


犬飼に尋ねられたけど、返事ができなかった。


好き?店長を?


尊敬できて、いい人だと思うけど、

好きかどうかはわからない。


でも・・・。


「俺さ、モニカと別れたあと、
 付き合った人もいたんだけど
 続かなくて・・・。

 今仕事忙しいし、たぶん
 それはどうしようもなくて、

 でも、今日馬村と与謝野さんの
 結婚式みてたら、
 あの二人だって高校卒業して
 たぶんすれ違うことだってあったと思うのに、

 どうして俺らはそれを
 乗り越えられなかったんだろう、
 って思っちゃったんだ。

 なんていうか、不完全燃焼?
 
 もっと別れるよりできたこと、
 あったんじゃないかって
 思って・・・。」


同じだ。


モニカも今日二人を見て、
そう感じたんだった。

いや、今日感じたことじゃない。


たぶん、別れた時からずっと、

もっと他に選択できることが
あったんじゃないかと
思ってて、

それがずっとしこりになってたんだ、
と気づいた。


「だけど今モニカに好きな人がいて、
 その人と新しい恋を始めようとしてるなら、
 俺が別の道をと思ってもしょうがないし...

ごめん。もう遅いよね。二年も経ってるし。

 俺、もう行くよ。来てもらってありがとう。」


伝票を持って犬飼は
ガタッと席を立ちあがろうとした。
 

「待って!」


「なんでまたすぐに自分だけで
 完結しようとするの。」


モニカが呼び止めた。

作品名:再会 作家名:りんりん