再会
「え・・・。」
犬飼はしばらく黙って、
もう一度席に座った。
「私まだ何も言ってない。」
「でも・・・。」
「私も、今日すずめちゃん達見て、
学と同じことを思ったの。
もっと違う選択できたんじゃないかなって。
でも遅いかもって。
だから...次の恋に進みたいと思った、けど。」
モニカは言葉に詰まった。
「モニカは・・・俺のことどう思ってる?」
犬飼は尋ねた。
「自分のことを先に言わないなんてずるい。
学は?」
「俺は...モニカが好きだよ。
忘れられない。」
犬飼は真剣なまなざしで言った。
モニカは嬉しかった。
嬉しいけど、喜べなかった。
「私は...私も、忘れられなかった。ずっと。
でも、別の方法って何?
もしまたやり直しても、
どうやったらうまくいってた?
私、自信ないんだ。」
モニカは正直な気持ちを伝えた。
「ずっと前にも後ろにも進めなくて。」
「どうやって進めばいいのかわかんないの。」
「モニカ...俺のことまだ好き?」
犬飼が聞くと、
「もうすれ違うのは嫌だ。
付き合う自信がないの。辛いのは嫌なの。
好きだけどダメなの。」
「付き合いながら自分たちの道をみつけていく
っていうわけにはいかない?」
「ごめん。」
モニカはうつむいて言った。
犬飼は一息吐いて、
「わかった。やっぱり俺、もう行くよ。
ありがとう。話聞いてくれて。」
と立ち上がった。
「送って行くよ。」
と犬飼は言ったが、
「ううん。駅すぐそこだし。」
と断り、別れた。
モニカは胸がズキズキした。