再会
「ねっねっ復活したんでしょ?」
翌日カメからメールがきた。
「してないし、付き合えないって言った。」
と返信すると、
「ええええええええええーーーーーー!!!!」
と返ってきた。
「好きなんでしょー!」
とまた送られてきたけど、
「好きでもダメなこともあるの!」
と返信して、電源を切った。
ごめん、カメ。今は無理!
そっとしといて!
そのころ、犬飼も落ち込んでいた。
馬村に話を聞いてもらおうかと思ったが、
新婚旅行に行ってしまって、今はいない。
猿丸・・・に言ってもなぁ。
と思っていた数日後、
会社帰りに偶然猫田に出会った。
「あれ?犬飼君。偶然!ひとり?」
「あ・・・猫田。結婚式の時はお疲れ。
大変だったね。あれこれプロデュースしたんでしょ?」
「だって、あのイモ女に任せてたら
恥ずかしいことになりそうだったんだもの。
馬村君もどうでもいいとか言いそうだしさ~。」
「でもあの二人、幸せそうだったね。
いつも無表情なのに、ずっと笑ってた。」
「そうね。いろいろあったけどよかった。」
「いいなぁ、ちゃんと乗り越えられて。」
思わず犬飼が本音をこぼす。
「...犬飼君、ツルちゃんとヨリ戻したんじゃないの?」
「いや?なんで?」
「結婚式の後、二人で会ってたみたいだったから。」
「...断られたんだ。好きだけど無理だって。」
「何それ、ツルちゃん、素直じゃない。
人のこと言えないけどさ。」
「サロンの店長に交際申し込まれてて、
受けようかと思ってるって言ってた。」
「犬飼君のことが好きなのに?
犬飼君はそれでいいの?」
「でも俺、きっと幸せにできないし。」
「...ダボ!!!!!犬飼君、ダボ!!!」
「だっ??だぼ?」
すずめに怒るゆゆかはよく見ていたが、
自分が怒られるとは思ってもなくて
犬飼はビックリした。
「だって、そうでしょう?
ツルちゃん、ホントは犬飼君に
自分を引っ張って行ってほしいんじゃないの?
それでも好きなんだ、離したくないんだ、
って言ってほしいんじゃないの?
自信がないって、
ツルちゃん、犬飼君がどんなことを乗り越えても
自分の事を好きでいてくれる自信がない、
ってことなんじゃないの?」
「えっ...。」
「そんなの、俺のほうが自信ないよ。
モニカは美人だし、俺のほうが背が低いし、
時間作ってあげられないし、
全然かっこいいところ見せられないし、
他の人を好きになってもしょうがない...」
「~~~~~~~!!!」
「そうね、しょうがないわね。それじゃあね。
犬飼君の気持ちがそんなもんなら、
ツルちゃんだって愛想つかすわ。」
「そんなもんって、そんなもんなわけない。」
「じゃあ、なんで自分がどんなでも
ツルちゃんがどんなでも
俺から離れるなって言えないわけ?」
「...。」
「まぁ、私が言うことじゃないわね。
関係ないし。1人で落ちてればいいわよ。
じゃあね、また会えたらいいね。」
スタスタと言いたいことを言うだけ言って
ゆゆかは去って行った。
「なんなんだ、いったい。」
犬飼は茫然としていた。