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トラウマスイッチ

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すずめは腹が立ってきた。

お義父さんとお義母さんの間のことだし、
自分にはわからないことはあるだろうけど、

全部お義父さんのせいなの?!

この人は何を言ってるんだろう?

頭にくるという感覚はこういうのを言うのかな?


すずめがそんな風に思って
言葉に詰まっていると、
大輝の母は少しそれを察したようだった。


「理解できないですよね...。」


すずめはいろいろ言いたいのを抑えて
なんとか尋ねた。


「それで...今日は
大輝くんに会いに来たんですか?」



「いえ、今更会えません。
今日は…すずめさんに…。」


「私に?」


「ありがとうを伝えたくて。」


「え…。」


「私のせいで女嫌いになっていた大輝は
すずめさんに出会って変わったと
あの人に聞きました。
 それを聞いてすごく救われた気がしました。
大地もすごく懐いて
小学生の頃はよく遊んでもらったって…。」

「私はこんな情けない母親ですが、
ずっと息子達を心配してたんです。
信じてくれないかもしれませんが…。」


「いえ…」

自分には子どもがいないし、
子どもを捨てる気持ちも
それでも心配という気持ちも
すずめには想像できなかった。


「ありがとう、すずめさん。
 あなたのおかげです。」


「いや、私は何も…
あっでも、今の旦那さん、
今日ここに来て平気なんですか?
 さっき嫌がってるって...。」


「いえ、ついていった上司とは、
結局お互い不倫の末で、
上手くいかなくて
別れてしまいました。
 あの子達を散々苦しめた
 罰でしょうねぇ。」


「じゃあ、もっと早く
大輝や大地に会ってくれれば…」


「あの子達はこんな勝手な母親、
許さないだろうし、会ってくれないと思います。
いいんです。もう。許されなくても。」


ホントに?

ホントにそう思ってる?


「あのこれ…要らないかもしれないけど。」


と大輝の母が袋から出したのは、
男物と女物のペアのパジャマだった。


うわっ恥ずかしいな、これは。


2人でこれを着ている姿を想像して
新婚さん!という風貌が
恥ずかしくなった。


すずめがむずがゆくなっていると、


「それとこれ…」


と言って、『結婚祝』と書かれた
祝儀袋も出された。


「え…受け取れません。こんな。」

すずめが戸惑っていると、

「すずめさん、あの子には
私がここに来たことも
パジャマやお金を持ってきたことも
黙っててくれませんか?」


「え...なんで...。」


「会うのはもうダメだと思いつつも
あの子にはいっぱい辛い思いをさせたから
何かお詫びとお祝いはしたくって...。
少ないけど新生活の足しにしてくれれば。」


「でっできません!」


大輝に黙っとくとか、
私絶対無理だし!!


「大丈夫!もう来ないから!」

大輝の母はそそくさと
荷物をまとめ始めた。


「待ってください!困ります!」


「気持ちだから。受け取っといて。
大輝をよろしくお願いします。」


とだけ言うと、
大輝の母はバタンと出ていってしまった。


「え~~~~???」


「どうしよう…。」


すずめは祝儀袋を手にしたまま、
途方に暮れてしまった。


作品名:トラウマスイッチ 作家名:りんりん