美しく羽ばたいて
点滴のおかげか、
すずめもだいぶ元気になってきて、
つわりもやっと治まり、
お腹が前に前に出てきた。
つわりがおさまると、
今まで動かなかったぶん、
たくさん動きたくてしょうがなくて、
二駅分くらいを毎日散歩していた。
37週になっていた。
まだまだだからと
タカをくくっていたら、
歩いている途中で
お腹がシクシクし始め、
おじさんのカフェで
休ませてもらった。
「すずめぇぇ、大丈夫かぁぁ!」
諭吉はどうしていいかわからず
オロオロしている。
「大輝くんに連絡したほうが…」
「まだ陣痛じゃないと思うから
大丈夫だよ。
張り切って歩きすぎて
お腹張っただけ。」
すずめはそう言って
お腹をすりすりさする。
「気をつけろよ~」
カランカランとカフェのドアが開いて
「ツバメちゃんじゃない!」
とつぼみが入ってきた。
「WAO!お腹大きくなったわね!
もうすぐ?」
「あと3週で予定日です。」
「いいの?こんなとこいて。」
「歩いてる方が楽だから…」
「さすがねぇ。」
苦手だったつぼみも
最近は普通に付き合えるようになった。
しばらく雑談してすずめは
「ちょっとトイレ…」
と席をたった。
大きくなった赤ちゃんで押されるのか、
トイレは頻繁に行きたくなる。
が、立った瞬間、パシャン!と
水風船が急に割れたような
感覚があった。
「!」
トイレに行くと、
不自然なほど下着が濡れていて
少し出血していた。
「おっおじさん!!
破水したかも!!」
「えっ!」
「え~~~~!?!?」
諭吉はパニックになっている。
つぼみが、
「ツバメちゃん、
すぐ病院電話して!」
とすずめに指示する。
「はっはいっ」
「諭吉!諭吉は馬村くんと
ツバメちゃんのお母さんに電話!
カフェ閉めたらすぐ病院来てよ!」
「わっわかった。」
諭吉は慌てて大輝とすずめの母に電話する。
「ツバメちゃん、タクシー呼んだから。
一緒に行くわよ。」
「つぼみさん、すごい。
カッコイイ…」
「何よ、今更。」
つぼみはそう言って
すずめにウインクした。