感情
「でもな、大輝くん。
俺は忍耐強いってことは、
自分の感情を押し込める
ってことでもあると思うぞ?」
「押し込める…」
「昔押し込めた感情は
結局あとで出てくると
思うんだよな。」
「そう…なんですか。」
「なんていうか、
生きもんみたいなもんでさ。」
「だからあんまりかっこつけなくて
いいからさ、その時感じたことは
そのまま言っちゃえばいいんだよ。
美羽みたいにさ。」
「ま、俺は思ったこと言い過ぎて
デリカシーないって
母ちゃんに怒られるんだけどな。」
ハハハッと二人で笑った。
最後の枝豆が
なくなってしまった。
「おーい、母ちゃん!
枝豆追加で!」
すずめ父が叫ぶ。
「もうないわよ!」
「なんだよ、ケチだな。」
と正直に言って
すずめ母に怒られている。
「まっ昔の感情が出てんなら、
それはそれで大事なことだわな。
すずめもそうだけど、
大輝くんも自分の気持ちを
大事にしろ?似た者同士でな。」
「えっ。」
似てる?すずめと?
「付き合わせて悪かったね。
明日東京帰るんだろう?
もう寝るか。」
「はい。おやすみなさい。」
そう言ってすずめ父と別れ、
大輝はすずめと美羽が寝ている
和室に入っていった。