勝負
パーン、パパーン!
運動会が始まった。
幼稚園の園庭は狭いので、
運動会は小学校を借りてするらしい。
上の方に国旗の旗がなびいて
それだけですずめと美羽は
ワクワク感が止まらなかった。
未就園児の競技はお昼の前にあり、
親と一緒に手を繋いで
年長さんのとこまでいって
メダルをもらってくるだけだった。
「それだけ?走ったりしないんですか?」
「未就園児ですから…」
受付の先生にそう説明され、
走ったりパン喰いしたりを
思い浮かべていたので、
すずめはちょっとガッカリした。
「与謝野さん!?」
「え…」
と振り向くと、そこには
高1の時のクラスメートだった
矢田がいた。
ジャージを着て名札をつけている。
「矢田さん!もしかして
ここの先生?」
「そうなの~。まさかここに
与謝野さんが来るとは
思ってなかったわ。
お子さん、未就園児の出るんだね。」
「うん、来年幼稚園だし。」
「馬村くんも来てるの?」
「たぶん、あっちのほうで待ってる。」
「そう!最近保育園人気で
うちは子ども少ないけど
代わりにアットホームだから。
ゆっくり雰囲気味わって
来年ぜひ入って~。」
「ありがとう!」
知り合いがいて
随分心強い感じがした。