ジュリエットの幸せ
『あなたに会えたから、
もう死んだって悔いはない。』
土牛が続ける。
仕方ないので
ゆゆかも続きのセリフを口にする。
『おお、ロミオ。
なぜあなたはロミオなの?
ねえお願い、名前を捨てて。
私と一緒になって。
死ぬなんて言わないで。
一緒に生きていたいわ。』
土牛が少しセリフを変えて
しゃべり出す。
『ジュリエット。
では君も猫田という
名前を捨てて。
皆川ゆゆかとして
僕と一緒に生きて。』
「!?」
『僕は一生君を愛すと
月に掛けて誓うから。
…君も誓える?』
「……誓うわよ。バカ!」
そうして二人は指輪を交換し、
キスをした。
美男美女なので
映画のワンシーンのようで
みんなから吐息が漏れる。
そして我に返ったように
揃って拍手をした。
「キレイ!ゆゆかちゃん!素敵!」
すずめはぶわっと泣いている。
「十年以上前の台詞言うなんて
オマエには到底無理な演出だな…」
大輝に妙に感心されてしまった。