イカリング
その日の放課後、
すずめは用事があると
先に帰ってしまっていた。
馬村が帰っていると
下駄箱のところにゆゆかがいたので、
馬村は探りを入れることにした。
「オイ、猫田。」
「馬村くん?」
「アイツ、今なんか欲しいとか
言ってなかった?」
ゆゆかは、ははーん、と
すぐ察したが、面白がって
「イカリング。」
と答えた。
「…イカ…リング」
「わかった、サンキュ。」
そう馬村はつぶやき、
帰ってしまった。
「え…馬村くん、
イモ女のバースデーに
マジでイカリングあげる気?!」
「……ま、いっか。」
「私には関係ないし。」
まぁ、うまくいってるんだから
これくらいの意地悪、
刺激になっていいわよね、
とゆゆかは思っていた。