イカリング
12月1日放課後。
すずめの誕生日は
期末試験の真っ最中。
「はぁぁ。」
「終わったことあんま考えんなよ。」
「また追試になりそうで…」
深刻なのにすずめのお腹は
グゥゥゥっとなった。
「エネルギーを
使い果たしたみたい。」
すずめは照れながら頭をかく。
「ちょっと待ってろ。」
「え?うん。」
馬村がコンビニに入っていく。
「ほらよ。」
「え…何これ。」
「イカリング…」
「え!!」
すずめの顔がほころぶ。
「馬村すごい!
なんで今私の食べたいものが
わかったの?」
「マジで食べたかったのかよ…」
「え?」
「なんでもない。」
公園のベンチに座り、
ハフハフして食べる。
満面の笑みである。
「腹が減っては戦はできぬってね。」
さっきまで落ち込んでいたと思えない。
「それ、誕生日プレゼントだから。」
馬村が言う。
「え?そーなの?ありがとう!」
と笑って食べ続けるすずめを見て、
「プッ」
馬村は噴き出した。
「えっ何?!」
「そんなわけねーだろ。」
笑いながら馬村が言う。
「え?違うの?
普通に嬉しいんだけど。」
「見てたらわかるわ。」
イカリングでかなり喜んでるすずめに
馬村は少し不安になる。