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機動戦士ガンダムRSD 第1話 怒れる瞳

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配備は、噂通りルナツー軌道だろう」
 ジョニー中尉は、多少この状況に理解があり自分たちの配備先を予想した。
α艦隊は、コロニー軍の中でもエリート中のエリートしか配備されない超エリート艦隊でありコロニー軍上層部はそれゆえα艦隊を前大戦で前線に出すことをためらっていた。
そのため今回は、その能力をいかんなく発揮してもらおうと観艦式を行いα艦隊を配備すると同時に地球軍に再戦する段取りを踏んでいた。
そしてもう1つα艦隊を投入する理由は、β艦隊とϜ艦隊の指揮官であったガンダムマッドネスとガンダムエルフの代替ができていないからであった。
そのためβ艦隊とϜ艦隊は、それぞれからエースを臨時隊長に任命させて運営してる状態だった。
しかしこれでは、完全な実力を発揮することはできない。
そのためその分をα艦隊でカバーするため通常任務に就いたという経緯があった。


         ※

 α艦隊所属のキリー・ロジャース中尉が歩道の真ん中で黄昏ているのを幼馴染のアンディー・ヘイズ大尉が見つけた。
「キリー?」
 アンディ―大尉は、不審に思い声をかけた。
「何だ、アンディーですか」
 彼女は、寝ぼけたような声で答えた。
「ぼおっとしてどうしたんだ?」
 普段黄昏るなんてしない彼女の姿を見てアンディ―大尉は、不思議に思った。
「空を見てたのよ」
 キリー中尉は、そういうと視線をアンディ―大尉から空に移した。
「ずいぶんと風流だな」
 アンディー大尉は、初めてキリー中尉が芸術を楽しむ人だと知った。
「まあね。
私は、星を見るのが好きでよくコロニーから見てるんですがやっぱり地球から見ると一味違うのかなって思って。
うまく言えないですけど澄み切っていて大気がなどがあるのに遠くまで見えるんだろうな」
 キリー中尉は、詩人のように語っていた。
アンディー大尉は、そんな彼女の詩のような言葉をもっと聞きたかった。
「終わり」
 しかし唐突にそれは、終わった。
アンディー大尉は、開いた口がふさがらなかった。
「終わり。
以上地球に対する憧れでした」
 キリー中尉は、先と打って変わって元気に終わりを告げた。
アンディー大尉のそんな顔が面白かったのかキリー中尉は、笑った。
(全く気分屋だな)
 アンディー大尉は、そう思うとあきれていた。
「そんなことよりもさ」
 キリー中尉は、すっかり普段通りに戻り違う話題をふってきた。
アンディー大尉は、多少疲れながらもそれに付き合った。
「アンディーと私の仲って何だろうね?」
 キリー中尉は、唐突にアンディー大尉との関係を聞いてきた。
「そんなのを考えていたのか?」
 アンディー大尉は、あきれ半分にキリー中尉に質問した。
「ずっと考えていたのよ。
私たちは、どんな関係何だろうって
訓練学校に入学してからもほとんど変わってないじゃない?」
 キリー中尉は、真剣に考えていた。
「そうだな」
 アンディー大尉は、うなずいた。
「つかず離れずふわふわしてる。
すごく中途半端な感じ」
 キリー中尉は、現在までの関係を述べた。
「プライベートなら悪友だな。
仕事であれば上官と部下」
 アンディー大尉は、自分の考えを述べた。
「まあそういうと思ったわ。
わかってた」
 なぜかキリー中尉は、うなだれていた。

         ※

 港口では、多くのコロニー軍兵士の親族がいた。
「パパ、船は?」
「軍艦なの?
空母?」
「やっぱり必要ですものね」
「ああ、ナチュラル共に見せつけてやるともさ」
 多くは、コロニー軍最強艦隊と謡われるα艦隊が通常任務に就くということで話題が持ちきりだった。

         ※

 α艦隊所属のテリー・アブスト大尉は、恋人のジーン・ヘイズ中尉が1人で掃き掃除をしているのを見つけた。
(皆は、いないぞ。
チャンスだ
ジーンをデートに誘うなら今しかない。
行こう)
 テリー大尉は、そう判断するとジーン中尉の許へ走って行った。
 テリー大尉は、ジーン中尉の許に到着した。
彼女は、めんどくさいのかため息をついた。
「ジーン」
 テリー大尉が呼ぶとジーン中尉が振り向き彼氏に気付いた。
「掃除当番なのか?」
 テリー大尉は、明るく質問した。
「はい、そうなんですよ。
参っちゃいます」
 ジーン中尉は、暗く答えた。
「大変だな」
 テリー大尉は、ジーン中尉をねぎらった。
「落ち葉がすごく多いんですよ。
何で落ち葉って落ちるんでしょうか?」
 ジーン中尉は、真剣な顔で悩んでいた。
「どういうことだ?」
 テリー大尉は、ジーン中尉が何を言っているのかわからなかった。
「頑張って落ちなければ掃除をしなくて済むじゃないですか?」
 ジーン中尉は、葉が落ちなければいいと考えた。
「それは、人工樹に植え替えればいいと考えてるんだよな?
でもそうなると俺たちは、本当にコンクリートの森林の中で生活することになるぞ」
 テリー大尉は、ジーン中尉が述べていることを確認するとそれによる弊害を述べた。
「そうか、確かにそうですね」
 ジーン中尉は、一本取られたという感じでおどけた。
(まずい。
こんな調子じゃデートに誘うどころじゃない。
一気に行くか)
 テリー大尉は、こういうジーン中尉の天然さに惹かれたが今はそれに流されるわけにはいかなかった。
「テリーは、やっぱり冴えてますね」
 ジーン中尉は、うれしそうな笑顔でテリー大尉を褒めた。
「ジーン」
 テリー大尉は、そんな甘い空気を吹き飛ばすようにジーン中尉の名を叫んだ。
「どうかしたんですか?」
 ジーン中尉は、そんなテリー大尉の決心などつい知らず気楽に返事をした。
「今度の有給休暇の時にデートに行かないか?」
 テリー大尉は、ジーン中尉を恥ずかしながらデートに誘った。
テリー大尉がジーン中尉をデートに誘うのは、これが初めてではないが恥ずかしがり屋のテリー大尉は毎回恥ずかしがっていた。
「そうねえ」
 ジーン中尉は、深く考えていた。
(どっちなんだろう?)
 テリー大尉は、ジーン中尉の返答が気になって気が気でなかった。
しかし実は、ジーン中尉は既にOKの答えを用意していたが気が気でないテリー大尉の表情が面白く悩んでいるふりをしていた。
その時ジーン中尉は、何かを思いついたのか不敵に笑った。
「いいわよ」
 ジーン中尉は、誘いに応じた。
「た・だ・し、ここの落ち葉を5分以内に片づけてくれたらね」
 しかしジーン中尉は、条件を突きつけた。
「5分以内か?」
 とても厳しい条件にテリー大尉、弱気になった。
「はい、どうですか?」
 デートを絶対にあきらめないテリー大尉の性格を知っているジーン中尉は、ニヤニヤしながら聞いてきた。
(結構あるな。
だけど断るなんて考えられない)
 ジーン中尉の読み通りテリー大尉の中に断る選択肢は、存在しなかった。
「やるぜ」
 テリー大尉は、条件をのんだ。
「ありがとうございます。
テリーならそういってくれると思ってました」
 テリー大尉は、釈迦に弄ばれる孫悟空のような気持ちだったがこういうことを楽しんでいる自分も同時にいた。
「それじゃあ行ってくる」
 テリー大尉は、そういうと掃除道具を持って行った。
「頑張ってください。