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 長身揃いの敵味方の中で小柄で細身の一年がひょっと出て、何をするのかと思われていたのだろう。
 おお入ったと言う見物人達のどこからか聞こえる声を遠くで聞き、リングに吸われたボールを見て、大き目で丸い目を見開き、一瞬呆然とする。
 そして直ぐに優しい視線……誰かが自分を見ていた事に気付く。
 (……目が合って。近くでにこりと笑んでいた仙道に俺は―…思わずひっ付いて。)
 あの時は上級生達は勿論、魚住先輩や池上先輩、福田や植草達もまだ仙道に対して喜びを露わにする事は無かったから。
 ―…側に居たあいつのマッチアップの相手も、越野こら、と注意しようとしていた魚住先輩達も皆びっくりして……
 ―…仙道本人も。目を見開いて、あの男前が面白いカオになって。、
 でも、すぐにまた―…笑って。

 (……)
 自然に俯いていた顔を上げ、遠いリングを見上げ越野は思う。
 こうやって、アイツは……優しい奴なんだと。
 まるで、誰もいないのに、何人かに言い聞かせるかのようにそう思う、どこかもやもやとした原因は、きっとこうなのだろう。
 天賦の才、数え切れぬ程の他者からの視線、羨望、美貌、
 それらを独り占めし、一年でありながら全てが一番の天才。
 穏やかさ優しさ……それが仙道で、どこか人を寄せず孤高で高慢で時に独善……頼る事をせず、独り善がりとなるもなる人物。
 温和と冷徹、穏順と高慢。
 ……自分が庇い、弁明する男が陽陰双方を併せ持つ事を越野は知っている。ただ、
 ―…何故、強く美しいその同輩に対し、その乾いた二面性を思い自分が―…悲哀にも似た思いにこうして強く囚われるのか。
 自身のその思いの根源を、越野は知っていない。
作品名: 作家名:シノ