トランキライザー 馬村side
「すずめ!」
そう言って
オレはまたアイツを
抱き締めた。
「え…今、名前…」
「オマエ今絶対顔見んなよ?」
顔が熱ちぃ…
「うん、見ない…」
アイツもオレの背中に手を回し
ぎゅっと抱き締め返してきた。
「大輝…」
名前を呼ばれて
ドキッ!とした。
「なんかこれ、
照れるね///。」
アイツが言う。
「もう一回。」
「え?名前?」
「うん。」
「…大輝?」
オレはもっと強く
アイツを抱き締めた。
「大輝も…もう一回。」
リクエストされて、
オレはまた名前を呼ぶ。
「…すずめ…」
イライラを作っていた塊が
溶けるようだった。
「今まで毎日一緒にいるのが
当たり前だったから…」
アイツが話し始める。
「ん?」
「近くの学校ならいいって
思ってたけど…」
「うん…」
「やっぱり寂しいよ。」
「…オレも。」
「あぁ、オマエ連れて
帰れたらいいのに。」
「えっ///。」
オレはアイツの唇を塞いだ。
そろそろ我慢の限界がきてる。
すぐ離して、「送る」
もう一回伝えた。
「うん…」
アイツはそう
残念そうに呟いて
一緒に歩いて帰った。
作品名:トランキライザー 馬村side 作家名:りんりん