好きのカタチ
「ごめん、遅くなった。」
大輝は学校前の
ガードレールに腰掛け
待っていた。
「最近学校忙しいのか?
無理すんなよ。」
「え…いや、そうじゃないけど…」
すずめが言葉を濁していると、
「俺が呼び止めてましたぁ。」
と、さっきの
アイツが出てきた。
シュウ、とみんなに
呼ばれているソイツが、
すずめのあとを
なぜかついてきていた。
「誰だよ、オマエ。」
大輝の額がピクッとする。
「すずめちゃんと同じガッコの
シュウでーす。」
「帰りに誘ったら
彼氏に会うって
すずめちゃんに断られてさぁ。
そんないそいそ毎日会うって
どんな彼氏かなって思って
ついてきちゃった。」
「は?」
ノリが軽くて
大輝はイラッとした。
「すずめちゃんの彼氏、
イケメンだねぇ。
そりゃ急いで
会いたくなるよね。
あっよかったら
お近づきの印に
三人でごはんとかどう?」
「は? なんでだよ。」
「ごめん、えーとシュウ?
私たち、あんまり
時間ないからさ、
また学校で。」
「えーっざんねーん。
じゃあ今日は帰るかな。
彼氏くん、またね。」
そう言ってシュウは
帰っていった。
「何あれ。
何がしたいんだろう。」
すずめは呆然としていたが、
大輝は面白くなくて
不機嫌になった。
「オマエ、アイツと
仲いいのか?」
「仲いいっていうか、
一度実習でペア組んで
それ以来やたら
話しかけられるけど…」
「でもあの人みんなに
あんな感じだよ?」
「あっそ。」
すずめを信じてない
わけじゃない。
でも知らない男が近くにいる。
それは別の学校に進んだ時から
覚悟はしていたけれど、
目の当たりにすると
大輝は心がザワザワして
落ち着かなかった。
「大輝?」
「あ、悪ぃ。
バイト行かねぇと。
またメールする。」
「うん、わかった。
今日あんまり時間なかったね。
ごめん。またね。」
その日はそれだけで別れた。