好きのカタチ
バイトが終わって
大輝はまたすぐメールする。
『無事帰ったか?』
しばらく待ったが
すずめからの返事がない。
「くそっ」
バッグをもって
すぐバイト先を後にし、
すずめがメールをしてきた
居酒屋に向かって走った。
はぁっはぁっ…
大輝は学生らしい団体を
店の前でみつけ、足を止めた。
「すずめちゃぁん、
ほら、しっかりして。」
「うぅぅん…」
「どうかした?」
「あっシュウ。
すずめちゃんが
酔ったみたいで。」
「お酒初めてだったかな?」
「俺が連れて帰るよ。
みんな終電あるから帰りなよ。」
「そう言って送りナントカに
なるんじゃないのぉ?シュウ。」
「バカ言うなよ。
そんなことしないですぅ、
俺はジェントルだからね。」
そう言って昨日のヤツが
すずめの腕をとって
抱き抱えようとしてるのが見えた。
ガッとその手をとって、
「オレが送るからいい。」
とすずめの肩を乗せた。
「えっ誰……あっ。」
シュウがビックリしている。
「オイ、すずめ。
目ぇ覚ませ。帰るぞ。」
「うぅぅん、あれ?大輝?」
すずめは酔った頭で
ボーッとしていた。
「飲めもしないのに飲むなよ。」
「えっえっ。もしかして
すずめちゃんの彼氏?」
「わっすごいイケメン!」
「意外…!!」
クラスの女子らしい子達が
突如現れた大輝に色めき立つ。
「アンタさ…すずめちゃん大事なら、
もっと自由にさせてあげたら?」
「は? 何がだよ。」
「いつも急いで帰って
クラスのヤツと仲良くできずに
可哀想だろって言ってんだよ。」
「ちょっ、どうしたの?シュウ。」
周りの女子が、
シュウと大輝の
険悪な雰囲気に
ザワザワする。
「もしかしてシュウ、
すずめちゃんが好き…とか?」
「まさかねー!」
ワイワイ言っていると
シュウが呟いた。
「そうだよ。」
「えっ!」
女子が一同止まった。
「だからアンタの存在が
ムカつくんだよ。」
シュウが本音をぶちまける。
「知るか、そんなの。
コイツと付き合ってんのは
オレだ。」
大輝が返す。
「今近いのは俺のほうだからな。
そのうち奪わせてもらう。」
シュウが大輝に宣言した。
キャーーーー!!
女子は少女漫画のような
展開にドキドキしていたが、
イケメン二人の
思いがけない取り合いに、
自分がその中心であることを
全然気づかず寝ている
すずめだった。