つぼみの家
廊下の左側のドアを開けると
そこはリビングで、
やっぱり壁一面の書棚には、
写真集やデザイン系の本が
並べられている。
モスグリーンの大きなソファと、
小さい白いテレビが一台、
床の上に置いてあって、
空の灰皿がそばにあった。
後からいれたらしい
クローゼットらしきものも
置いてあった。
部屋をひとつ、すずめのために
空けたので、移動させたのかもしれない。
「ここはつぼみさんの
テリトリーって
感じだなぁ。」
キッチンは別についていたが
ほとんど使ってないようで、
綺麗なかわりに
小さな冷蔵庫がひとつ。
棚の中も冷蔵庫の中にも
何も入っていなかった。
「鍋とか、おじさん
余分に持ってないかな…」
ひとつ空けといた、
と、つぼみが言う部屋は、
洋室で、やっぱり何もない。
「さて、どうしよう。」
あれこれ買っていれるのも
勿体ないし、お金もない。
つぼみは気にしないかもしれないが、
つぼみが帰ってきたときに
自分の家じゃなくなった、
と思うのも申し訳ない。
「とりあえずこの部屋に、
自分達が使う必要性最低限の
ものを揃えようかな。」