届かない想い
終業式の日、
アイツがいつもと違う感じだった。
何かを強く決意したような…
まさか…
気になって下駄箱で待った。
「あれ、馬村。」
アイツは普通にやってきた。
髪の毛をボサボサにして。
なんだ、オレの思い過ごしか?
でも話していると突然
「ふられた…」
と言って大粒の涙を
ボロボロアイツがこぼし始めた。
ふられたって…ふられた?
先生に?
切なくなって
オレは思わず
アイツを抱きしめていた。
告白したのかよ。
アイツに?
ムリに決まってんじゃん。
なんでそんな恋愛するんだよ。
なんでこっち向かねーんだよ。
悩めって言ったけど、
やっぱりオレはコイツを
苦しめたくない。
涙を流させたくない。
笑ってて欲しい。
オレを好きになればいいのに。
そんなこと言ったって
好きになるわけないのに
でもそうしたら
オレはオマエを泣かせないのに。
「わたし帰る」
そう言って抱きしめていた腕を
振り払われ、アイツは去っていく。
苦しい。
何もできないことが苦しい。
自分にムカつく。
オレが何かすればするほど
苦しめるだけなのか?
「なんでだよ…」
ダァァン!
オレは下駄箱の横の傘立てに
ケリを入れた。