修学旅行
すずめと馬村は
犬飼&ツルカップルと別れ、
二人でハリー・ポッターの
世界観を再現した
町並みを歩く。
「ここでも二人で回れて
よかったね。」
すずめが言うと、
「そうだな。」
馬村はぶっきらぼうな返事をした。
「?」
馬村はいつになく
気がそぞろだ。
町並みの至る所で足を止め、
頬をピンクにして
喜んでるような…
「馬村…もしかして
ハリー・ポッター好きなの?」
「えっ…悪いかよ。
洋画全般好きなんだよ。」
「そーなんだ。
だったら好きなとこ、
好きなように回っていいよ?」
「そしたらオマエが
つまんねーだろ?」
「全然。馬村が我慢してるほうが嫌だ。
あっ私も映画観て予習してきたんだよ。
ハリー・ポッター。」
「どうせ途中で寝て
最後まで観てねんじゃねえの?」
「……なんでわかるの。」
「そういうのは観たと言わねえ。
オマエのことなんて
なんでもわかるわ。」
「あ、じゃあ、帰ったら
もう一回観るから、
いろいろ教えてよ。」
「……オレん家にある。」
「え?」
「オレん家にDVDあるから
ウチ来て観れば?///」
「////え、あ、うん。」
思いがけず、お家デートの
約束をしてしまった。
馬村は、ここは
魔法学校で杖を選ぶシーンで、とか、
このお菓子も映画に出てくる、とか
いろいろ教えてくれた。
こんなに喋る馬村を
初めて見たかもしれない。
馬村が楽しそう。
嬉しくて無意識に顔をのぞき込むと、
「なんだよ。」
と赤い顔で睨まれてしまった。
「あっこのシーンは観たよ。
バタービールだ。
飲んでみたい。」
「オレはいいよ。」
「えっなんで?」
「まずそう。」
「じゃあ、私買うから
半分こしよ?」
すずめがバタービールを買いに行く。
「馬村!見てみて!
泡、泡〜〜映画と一緒!
馬村もやってみて。」
すずめは口の周りに
バタービールの泡をつけて
よろこんでいた。
「アホ、やらんわ。」
「えっなんでよ。せっかくじゃん。」
「絶対やらねーかんな。」
「え〜」
「…ブ。すげー顔だな。」
「じゃあ、味だけ。ハイ。」
すずめが馬村に
飲みかけのバタービールを渡す。
躊躇いながらも
同じ飲み物を一緒に飲む、
という行為が少し嬉しい。
グイッと馬村が飲んだ。
「甘…」
馬村が顔をしかめる。
「あっ馬村、泡ついてるよ。」
馬村は赤くなりながら
手でとっさに口元を隠す。
「間接キスになったね。」
しれっとすずめが言って、
馬村が真っ赤になる。
「だからそういうこと言うな。バカ。」
「ごめん。」
馬村に釣られてすずめも
赤くなってしまった。
「あ、交替の時間だ。」
楽しい時間はあっという間にすぎる。
すずめと馬村は、
行列で待つゆゆか達の
ところにいって交替し、
その後無事にみんなで
アトラクションに乗って
楽しんだ。