告白
来た!
ななななっ何て言えばっ。
しどろもどろで、
何を言ったか覚えてない。
この碁に及んで
まだプライドが邪魔して
友達が馬村くんを好きと言ってるって
言ってしまった!
あっ馬村くんが行ってしまう。
彼には本気の気持ちを
ちゃんとぶつけないとダメだ。
あの子みたいに。
「本当は私が馬村くんを好きなの!」
言ってしまった。
ああ、終わる。
「ごめん。」
だよね。
「他に好きなヤツがいます。」
知ってる。
「ごめんなさい。」
うん。
「言えてスッキリした。
ありがとう。」
初めて馬村くんに、
ごめん以外の言葉が
言えたかもしれない。
馬村くんが去っていく。
うん。よかったんだ、これで。
もうイモ女に嫉妬したりしない。
さよなら、私の初恋。
馬村くんを好きになれて
よかったかも。
あの子と友達になれてよかった。
ちょっとだけ自分を
好きになれたかも。
でも、涙が止まらない…
劇がもう始まるのにー
「ゆゆかちゃ…」
「ちょ、どうし…」
「こないで!」
嫌なときに会った。
土牛先輩だ。
「これはちょっと
ただフラれただけだから」
一番見られたくない人に
涙を見られてしまった。
バカにするに決まってる。
ストン。
土牛先輩は私に背を向けて座った。
え?
「もし誰かに見られたら
俺のせいにすればいいしね。」
そう言ってずっとそばにいてくれた。
失恋の痛みが
少しだけ和らいだ。
皮肉にもウザイアイツのおかげで。