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靴ベラジカ
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魔法少年とーりす☆マギカ 第七話

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 ナット型を頂点に掲げる、子供の玩具染みたカラーリングのグリーフシード。 ときわ中セーラー姿の少年が頂点を押込むと、無毒化された人工結界の世界は瞬く間に片付けられ、打ち付けコンクリートの、ときわハイツ連絡通路に戻って行った。 肉色半透明のプラスチック粘土染みた断面を見せる妖精の死体は消え、肉体の代わりでもあったのか、傷一つない姿のギルべぇが再び現れた。
 「わりぃ、と言いたいけどよ。 もうちょっと穏便に止められねぇのか」
 最早小銃とも言い難い、異常巨大の砲身を手早く分解しながらときわ中学生は答える。
 「だば、もっどインキュベーターの本能サ耐えてみろ(なら、もっとインキュベーターの本能に耐えてみろ)」
 ハルドルは弓道部員のキャリングケースに偽装したバッグへ砲身を詰めた。 明らかに弓道用具の重さでは済まない凄まじい重量を肩にかけ、辺りを見回す。 厄介な一般人はいない。 ばつが悪そうに妖精は笑う。
 「ケセセ… お前もいい所に来やがるぜ」
 「俺のえは此処だべ(俺の家は此処だぞ)」
 「アー、そういやな。 良かったぜ、半端な魔女候補を産む羽目にならなくて」
 「あど、調査員の遺品整理(あと、調査員の遺品整理)」
 アタリを付けたハルドルは自身のジェムに力を込め、虚空の空間を引掻き始めた。 やがて迷彩カバーは剥離音と共に浅葱に光る粒を散らしながら引き剥がされ、隠された分厚いA4の茶封筒が姿を現す。 傷や開封の跡は無い。 如何にか無傷で回収出来た様だ。
 「明日サお別れ会ど、あいづの最期の資料の朗読会ば開ぐ。 来らだな?(明日にお別れ会と、あいつ最期の資料の朗読会を開く。 来るか?)」
 「俺様特別ご招待か? 行かない訳ねぇだろ、ケセセ!」
 ハルドルは気だるげに手を振り、エレベーターに乗って行った。 ギルべぇも手を振って答えたが、妖精の空元気が効き目を失うのにそう時間はかからなかった。
 「本当、悪かった」
 魔法少年には決して見せぬ、弱った姿。
 「遺言の中でぐらい、本音を聞かせろよな」
 夜空に煌めく多種多様の星。 浅葱色の星を背に、ギルべぇは何処へと消えていった。