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夏祭り

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「私ねぇ、こういう大きい花火好き。
 ドーンってお腹に響くのが。」

「ふ、オマエらしいな。」

はぐれないように、
馬村はずっと手を包んでくれている。

ただ、花火が始まってから
また人が増えて、どんどん押されて、
二人の腕はピッタリくっついていた。

花火もキレイだけど、
くっついた腕が脈を打っているようで。

心臓の音も聴こえそうで。

ドーンと響いているのが、

自分のドキドキと重なっているみたいだった。


「暑くなってきたな。」

「うん...」


夏の暑さなのか、
人の多さに酔ったのか、
馬村が近いための緊張なのか、
よくわからなかった。

「オマエ、顔赤いぞ?大丈夫か?」

「うん、、、ちょっとクラクラする。」

「こっちこい。」

手をひかれて、花火の見えない、
人の少ないほうに、階段があった。

「ちょっと座ってろ。
 蒸し暑かったし、人が多いからな。」

「うん、馬村も近かったしね...」

「え?」


思わずペロッと言ってしまって
すずめはハッとする。

「えっあっいや、もう、その、
 馬村があんまり近いから
 私も緊張しまして...」

「そっちかよ。」

馬村が照れながらフッと笑った。


あ、笑った。


すずめは釣られて笑ってしまう。


「じゃあ、もう大丈夫か?」

「うん。」

「もう戻れねーな。帰るか?」

「あんまり花火見れなくてごめん。」

「別に花火なんてどうでもいいし。」

「え?」

「なんでもない。」



ヒュルルルル、ドドーン。

花火は見えないが、
光だけが、階段に座っているすずめの顔を
明るく照らしていた。

思わず馬村はキスをした。


「!...また...」


「嫌?」


「いやって、じゃなくて
 彼氏なんだなぁと
 なんか実感したというか。」

「オレも...ジワジワきてる。」


立っている馬村の周りが、
ドーン、ドーンと音がするたび、
花火の光で輝いていた。

作品名:夏祭り 作家名:りんりん