魔法少年とーりす☆マギカ 第八話
「チッ、結局何も分からねえか… こうなりゃアシだ、俺はこいつを防衛しつつグリーフシードを回収する! ハルドル、情報収集と留守は頼む」
「おいらは!?」
「ルートヴィッヒ、第一次魔法少年十字軍の生き残りだ! トーリスと二人でどうにか説得して協力に漕ぎ付けろ、各地のジェムは臨界点スレスレだ、時間がねえ急げ!」
携帯の電話番号とジェム色のメモを投げ渡され、イオンは頷きながらトーリスの腕を引っ張り駆ける。 バランスを崩しそうになりながらトーリスはイオンを追い魔術部室を飛び出した。
「待ってくれよ、どうしたのさ! 何が何だか」
「イヴァンって奴はインキュベーターの真似ごと、 ―魔女を大量に産みたがってる。 ローデリヒとつながりがあるか、詳しい動機は解らないけど、濁りを調節させて同じタイミング、同時多発的に魔女を産むつもりだ」
「魔女も使い魔も人を喰うんだろ!? そんな事したら、」
「其れが目的なんだよ、 イヴァンに何もしないで、ほっといたら」
「…イミテーション・インキュベーターをほっといたら、大量に魔女が産まれて― ときわ町中の、沢山の人が喰い殺されるよ!」
メモを確認し、錯乱するトーリスを抱えイオンは開いた窓へ全力で駆ける! 悲鳴を上げる茶髪の少年。 動じぬ赤眼の少年。 二人の少年を赤黒の液状が覆い、柘榴の魔法少年は水平に突撃し…
放たれた矢の様に、彼達は飛翔した。
作品名:魔法少年とーりす☆マギカ 第八話 作家名:靴ベラジカ