ひとりごと
思えば、すずめと出逢ってからずっと、
俺は葛藤の連続で。
自分の本当の気持ちと
向き合わざるをえなかった。
ゆきちゃんの姪だということ、
教師と生徒という関係、
突然再会したつぼみの存在、
すずめの隣にいつもいる馬村の存在...
俺の気持ちは今どうなのか、
見ないフリをして、
ごまかしていたものを
見ないわけにいかなくなった。
ごまかして放っておけるだけの存在だったら
よかったんだ。
手を離してしまえば、
ごまかしきれる。
アイツの周りのいろんなものを守れる。
そう思っていた。
けど。
手を離した瞬間に、
アイツが流す大粒の涙を見た瞬間に、
悔いという名のデッカイ杭が
胸に刺さって、
俺を動けなくした。
馬村の存在が、
俺の杭をさらに深く
打ち込んでいく。
なぜお前が隣にいる？
なぜ俺はいられない？
なぜお前がそれを知っている？
なぜ俺はお前にそれを知らされる？
落ち込むっていうのは、
心に杭が刺さって
重みで落ちそうになることを言うのかもな。
と、ガラにもないことを考えてみる。
どうやって支えていいかわからないほどの重みで
心は引き裂かれそうだった。