機動戦士ガンダムRSD 第3話 予兆の砲火
サイジョウ元帥の言うとおりムウ・ラ・フラガの戦死は、サオトメの確認によって報告された。
「分かりませんがクローンかもしれません」
その言葉にサイジョウ元帥は、一瞬驚いたが納得した。
「なるほど確かに技術的には、可能だ。
もしそれが本当なら許せない行為だ」
サイジョウ元帥は、命をもてあそぶコーディネイターを深く憎んだ。
※
リーンホースJr.のブリッジでは、レーダーがボギーワンとボギーツーを捕捉した。
「ボギーワンおよびボギーツーを捕捉しました。
オレンジ55、マーク90アルファ」
ヘルマン中尉がマーカー艦長に位置を報告した。
※
それは、ガーティー・ルーも確認した。
「イエロー50、マーク82チャーリーに大型の熱源。
距離8000」
オペレーターが報告した。
※
「敵艦捕捉、距離8000、第一戦闘配備。
パイロットは、搭乗機にて待機せよ」
戦闘に投入することを知らせる艦内放送が鳴った。
「最終チェック急げ。
始まるぞ」
整備兵たちは、各機の最終チェックに突入した。
※
「やはり来ましたか」
イワン艦長は、静かにネオ大佐に言った。
「ああ。
コロニー軍もそう寝ぼけては、いないということだ。
ここで一気に叩くぞ。
総員戦闘配備。
パイロットは、ブリーフィングルームへ」
ネオ大佐は、号令をかけた。
※
リーンホースJr.のブリッジでは、マーカー艦長が敵艦隊の動向をうかがっていた。
「むこうもよもやデブリの中に入ろうとは、しないでしょうけど。
危険な宙域での戦闘になる。
操艦頼むぞ」
マーカー艦長は、操舵手のアルベルト・ホルバイン曹長に命令した。
「了解」
アルベルト曹長が答えた。
「サイジョウ元帥とサオトメ大佐で牽制します。
終わってるな?」
マーカー艦長は、エルヴィン中尉にガンダムサイガー改とガンダムサイガーMk-Ⅱの整備状況を確認した。
「はい」
エルヴィン中尉は、終わってると答えた。
「目標まで6500」
ヘルマン中尉は、敵艦との距離を報告した。
「艦長」
その時ガンダムサイガーMk-Ⅱから通信が入った。
「どうした?」
マーカー艦長が答えた。
「敵は、デブリを使ってこちらの後方に回る可能性がある」
その言葉にマーカー艦長は、はっとなった。
敵艦は、ミラージュコロイドと呼ばれるステルスシステムを装備している。
それとダミーを使えば後方に回ることなど容易なことだった。
そんなことなど考えていなかった。
「分かった。
ガイヤス・ギヤは、直掩機として各艦近くに待機させる」
そこで通信が切れた。
※
η艦隊は、ア・バオア・クーで駐留任務を受けていた。
当然グリーン・ノア1襲撃事件情報は、ここにも伝えられたが皆はサオトメを信じ自分たちの任務をこなしていた。
「さて飯にしようぜ、クーパー」
ウォーレン中尉は、クーパー中尉を食事に誘った。
「そうだな」
クーパー中尉も異論は、なかった。
「今日も購買でパンでも買って食わないか?」
ウォーレン中尉は、パンを買おうと提案した。
人事異動で新たにドゴス・ギアに配属されたコックがパン職人でそのパンがとてもおいしく現在兵たちの中でブームとなっている。
「いいぜ、俺は別に何でも構わないけど」
しかしクーパー中尉は、そのブームに乗っていなかった。
「早速買いに行こうぜ」
ウォーレン中尉とクーパー中尉は、購買店にダッシュした。
パンは、人気で急がなければ購入できないほどだった。
そのため2人は、ダッシュした。
「大漁、大漁」
ウォーレン中尉は、大満足だった。
「スタートダッシュが効いたな」
ダッシュしたのが早かったため2人は、大量のパンを購入できた。
「間違いないな」
ウォーレン中尉は、笑顔で同意した。
その時クーパー中尉は、何かに気付いた。
「どうした?」
ウォーレン中尉は、怪訝そうに質問した。
「飲み物を買い忘れた」
クーパー中尉は、ため息交じりに言った。
「何だよ、しまらないな」
ウォーレン中尉は、がっかりしたように言った。
「やっほー、お2人さん。
今日も貧相なご飯を食べてるの?」
そこにミサキ中尉が来て2人をからかい始めた。
※
「目標まで6000」
α艦隊は、さらにボギーワンとボギーツーを追い詰めていた。
「ブリッジ遮蔽。
対艦対モビルスーツ戦闘用意」
マーカー艦長の号令でブリッジが戦闘ブリッジに移行し始めた。
※
ガーティー・ルーのパイロットルームではアウル少尉、スティング少尉とステラ少尉がノーマルスーツに着替えていた。
「あの艦隊だって?」
アウル少尉がスティング少尉に敵の正体を聞いた。
「ああ。
来るのは、あの黒いガンダムサイガーかな?」
スティング少尉は、敵艦載機を予想した。
「なら今度こそバラバラか生け捕るか」
アウル少尉は、ガンダムサイガーの捕獲も考えていた。
「どっちにしろまた楽しいことになりそうだな、ステラ」
スティング少尉は、そういうとステラ少尉を見たがステラ少尉はぼおっと振り返った。
2人は、そんなステラ少尉を不思議そうに見た。
※
ミネルバとガーティー・ルーの眼前には、巨大なデブリが迫っていた。
※
ガーティー・ルーはガイアガンダム、アビスガンダムとカオスガンダムを発進させた。
※
それは、ミネルバも同じだった。
「ルナマリア・ホーク、ザクウォーリア発進スタンバイ。
全システムオンライン。
発進シークエンスを開始します」
ルナマリア専用ザクウォーリアがハンガーに固定されたままカタパルト位置まで移動するとそこで外されカタパルトに接続された。
「インパルス発進スタンバイ。
モジュールは、ブラストをセット。
シルエットハンガー3号を開放します。
プラットホームのセットを完了。
中央カタパルトオンライン。
気密シャッターを閉鎖します。
コアスプレイダー全システムオンライン。
発進シークエンスを開始します。
ハッチ開放。
射出システムのエンゲージを確認」
シン中尉は、機器をチェックし異常がないか確認した。
「ザク、インパルス発進」
ブリッジでは、タリア艦長が発進命令を出した。
その命令でハッチが開放した。
「ガナーザクウォーリア、カタパルトエンゲージ」
ルナマリア専用ザクウォーリアにガナーウィザードが装備された。
「ルナマリア・ホーク、ザク、出るわよ」
発進を示す電光掲示板が青を示すとルナマリア専用ザクウォーリアがリニア駆動のカタパルトで発進した。
「続いてインパルス、どうぞ」
ブリッジオペレ―ターのメイリン・ホーク軍曹の発進指示をした。
そして発進を示す電光掲示板が青を示した。
「シン・アスカ、コアスプレイダー、行きます」
シン中尉の掛け声とともにコアスプレイダーが発進した。
次にブラストシルエットが発進し、チェストフライヤーが発進し最後にレッグフライヤーが発進した。
作品名:機動戦士ガンダムRSD 第3話 予兆の砲火 作家名:久世秀一