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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 22

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 メガエラの剣は、どちらも中心部に穴が空いている。刀身にこうした穴を作る事により、剣の大幅な軽量化を図っているのである。それ故、メガエラの細腕でも二刀流を扱うことができるのだ。
 メガエラは右で払い、左で突きを放った。ジャスミンは払いを受け、反撃に転じようとするが、すぐに突きが来るため、なかなか攻撃の機会を得ることができずにいた。
 二人の刃が交わり、距離が開いた。
 ジャスミンは振り返り、即座に構えた。
「さすが、その二刀流は伊達じゃないわね。隙がなくて全然攻められない……」
「あなたの方もやるじゃない。小太刀で私の攻撃にここまで対応できるなんて」
 メガエラは、右の剣をジャスミンに向ける。
「まだ勝負はこれからよ。全力で来なさい、そして完膚なきまでに叩きのめしてあげるわ!」
 ジャスミンは怯むことなく、笑い返した。
「当然よ、メガエラ。あなたも精々バテないで私について来ることね!」
 二人は各々が持つエナジーを放ちながら、同時に攻めかかった。二人が駆けた後に、真紅の輝きが残る。
『フレア・スマッシュ!』
 ジャスミンは纏う炎で、いくつもの球を作り、弾丸のごとき勢いで一気に打ち出した。
 メガエラはかわしきれないと判断し、背中の翼を前で交差させ、防御を試みる。
 ジャスミンの弾丸のごとき火の球は、メガエラの翼の前に落ちていった。
『ビーム!』
 ジャスミンは続けざまに、超高熱の光線を撃ち出した。
 速度、威力共に十分である。受け止めれば、多少のダメージは免れない。
 メガエラは、どうにか横にかわす。
「かかったわね!」
「っ!?」
 ジャスミンは光線を撃ちながら、メガエラに向けて前進していた。回避する事しか考えていなかったメガエラは、見事に不意を突かれた。
 不意を打たれたため、大きな隙を晒してしまったメガエラに、ジャスミンは容赦なく追撃する。
 メガエラは、少しでも追撃を緩衝しようと、剣で守ろうとする。しかし、ジャスミンはメガエラの腕を、後方に飛んで回転しながら蹴りあげ、完全に守りのなくなったメガエラの体に剣を上に向かって振った。
 ジャスミンの攻撃はこれで終わらない。後方に宙返りしながら蹴りと斬撃を同時に行い、空中でもとの体勢に戻った瞬間、次は剣を下に振る。
「必殺、巴登り・兜割り!」
 ジャスミンは、メガエラの頭を割るかのように、刃を真下に振り下ろした。
 しかし、簡単にやられるメガエラではなかった。
「まだよ!」
 メガエラは後ろに下がり、落ちてくるジャスミンの剣を避けた。着地の直後で動けないジャスミンに向け、切っ先を突きだした。
「くっ!?」
 ジャスミンは首だけを曲げ、メガエラの突きを寸前で避けた。しかしかわしきれず、切っ先はジャスミンの頬を掠める。
『エクスプロード!』
 ジャスミンは、メガエラに向けて爆発を起こし、自らも爆風に乗って後退した。
 ジャスミンとメガエラは、共に間合いから遠く離れた位置に立った。
 ジャスミンは頬に触れた。非常に浅いが、皮膚を斬られ、血が噴き出していた。
 対するメガエラは、守りをジャスミンに蹴破られ、がら空きになった体に傷を負っていた。しかしこちらも浅く、肩口が軽く切れただけである。
 メガエラが傷口に触れると、傷は一瞬にして癒えた。
 天界の存在である者には、すぐに回復できるほどの能力が備わっている。それは、軽症であれば瞬く間に治癒することができる。
「ちょっと痛かったかしら、なんて訊く方がバカよね」
 ジャスミンは手についた血を舐め取り、ニヤリと笑みを浮かべた。
 メガエラは強気で応じる。
「心配要らないわ。私達のしていることは真剣勝負。どちらかが死ぬまで続くものよ。そう、何があってもね……」
「ふふ……、そうね。それじゃあそろそろ全力でやりましょうか。体はもう十分暖まったでしょ?」
「私を相手にずいぶん余裕ね。まさか、封印から解かれたばかりの私を、気遣ってくれていたなんて」
 これまでの戦いは、彼女達にとって準備運動でしかなかった。
「あれで手加減していたのか……!?」
「僕達は、目で追うのがやっとだったのに……」
 傍観していたガルシア達は、ただただ驚くしかなかった。
「兄さん、ピカード。絶対に手出ししないでね。これは本当の本当に、真剣勝負だから」
 ジャスミンは重ねて注意した。
「さて、メガエラ。ここからは一切手加減なしよ! 死ぬ気で来なさい!」
「そのまま返すわ、ジャスミン。私もこの身に炎を宿す者、焼き尽くす……!」
 ジャスミンとメガエラは、互いに構えた。
 メガエラはエナジーを発動する。
『ビットソード!』
 メガエラの左右に炎が出現し、赤く輝く剣の姿になった。それらは、メガエラの両手にあるものに比べれば、一回りほど小さいが、十分な質量を伴ったものである。
「この剣は、私の意のままに動かすことができるの。この意味が分かるかしら……!?」
 ジャスミンの答えを待つことなく、メガエラはその問いの答えを示した。実際に振るう事によって。
 メガエラは浮遊する剣を、まるで手足を動かすかのように扱ってきた。
 縦横に振ることはもちろん、突くことにも欠けがない。加えてメガエラの両手の剣も合わせれば、一度に四回もの攻撃を加えることができる。
 二刀流を圧倒的に凌駕する手数で、相手の攻める機会を与えない、まさに攻撃特化の武器である。
「やっ、はっ!」
 ジャスミンは向かってくる攻撃を受け流した。
「鬱陶しいわね……!」
 ジャスミンは相手の目を見た。その視線の先は、ジャスミンの背後である。
「……っは!?」
 振り向くと、浮遊する剣がジャスミンを貫き通そうとしていた。
 ジャスミンは身をかわした。貫き損なった剣は、メガエラのもとへ戻り、肩の上に浮遊する。
「今のを避けるなんて、やるじゃない」
 メガエラは余裕である。
「まさか、あんなことまでできるなんてね。予想外だったわ」
「そう。なら、これは避けられないわよね!?」
 メガエラはものすごい速さでジャスミンに迫った。
 ジャスミンは迎え撃たんとするが、メガエラは素通りしただけであった。
『ビットソード!』
 ジャスミンの背後で、メガエラは再び剣を作り出した。出現できる剣には限りがあるのか、先ほど出したものより更に一回り小さい。
『ビットソード・ラッシュ!』
 これまで携えていた剣と、今出した剣合わせてジャスミンを挟み込んだ。
「なっ!?」
 ジャスミンが気付いた時にはもう、浮遊する剣は攻撃を始めていた。縦横無尽に、ジャスミンを指し貫こうとする。
 ジャスミンは一瞬の判断力で、上下から来る剣をかわし、左右から来る剣を、炎の刃とマントの縁で叩き落とした。
 しかし剣は再び浮き上がり、攻撃を繰り返す。
『エクスプロード!』
 ジャスミンは、自らを中心に周囲を爆発させた。強力な爆発に巻き込まれ、メガエラの剣は塵と化した。
 爆煙が上がる中、ジャスミンはメガエラがいるであろう方向に目を凝らす。しかし、メガエラの姿はない。
「そんな、一体どこに!?」
 ジャスミンは急いでメガエラの位置を探る。
「こっちよ!」
 ジャスミンの上空から、メガエラの声と共に何本もの剣が、雨のごとく降りかかった。