二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 22

INDEX|21ページ/24ページ|

次のページ前のページ
 

 剣は一本もジャスミンを掠めることなく、周囲を囲むように地面に突き刺さり、まるで柵のように連なる。
 ジャスミンは剣の檻に、閉じ込められてしまった。
「かかったわね……!」
 メガエラは先ほど、ジャスミンから言われた言葉を返すように言い、切っ先を真下にして落下してきた。
 ジャスミンは回避するが、大きな動きはできない。すぐそばには、茨のごとき剣の柵が立っている。
「アベンジャー・ストーム!」
 メガエラがエナジーの波動を放つと、炎の剣が囲う檻の中が、真っ赤に燃える炎渦巻く強風に包まれた。
 メガエラは翼を広げ、風にのって滑空しながら四方八方を激しく動き回り、ジャスミンに斬りかかる。
 メガエラの動きは凄まじく速く、全てを見切るのは不可能であった。
「くっ、うっ!」
 ジャスミンは上手く剣を取り回し、メガエラからの攻撃をしのぐ。しかし、剣だけでは全てを防ぎきれない。
『シェル・ファイア!』
 ジャスミンは炎のマントを硬化させ、殻にこもるように全身にマントを巻き付けた。
 ジャスミンの防御に弾かれ、メガエラの双剣はカチカチと音を立てる。
「それで防ぎきれると思っているのかしら!?」
 最早姿を捉えるのも難しいメガエラの声は、四方から来ているように聞こえる。
「確かに、ちょっときつい……。でも、この威力なら……!」
 絶対に屈しない、とジャスミンは確信していた。
 しかし、メガエラのこの連続攻撃は、時が経つにつれ弱まることはなく、むしろ威力がどんどん上がっていった。
「ぐっ! どうして、普通ならもう、剣がもたないはずなのに……!?」
 ジャスミンははっ、と異変に気が付いた。
「周りの剣が、減っていく……!?」
 ジャスミンを囲った剣の姿が、次から次へと消えているのだった。
 剣が消えるにつれ、メガエラの攻撃力が上がっていた。次第にジャスミンの防御壁に、ひびが入り始めた。
「あと四つ、まさかここまで耐えられるなんてね!」
 メガエラの声が響く。メガエラの言う通り、ジャスミンを捕らえる柵になっていたたくさんの剣の数は、四本疎らに残るのみとなっていた。
 また一本減り、更に一本。その都度メガエラの攻撃力は増し、ジャスミンの防御を崩さんとした。
 そして最後の一本がなくなった。
「くらいなさい!」
 メガエラはジャスミンの真っ正面から、両手の剣を交差させるように振った。
「ぐうっ……!」
 ジャスミンの防御壁は耐えきれず、ついに砕けてしまった。
 ジャスミンの力から離れ、防御壁だった欠片は、破れた布切れになってひらひらと地面に落ちていく。
 ジャスミンは、どうにか相手の連続攻撃をしのぐことができた。しかし、防御に使用した炎のマントはボロボロになり、しばらく使い物にならなくなってしまった。
「……驚いた。まさかあれを受けてまだ立っていられるなんて」
 ジャスミンはメガエラの方を向いた。
 メガエラの双剣は、熱された鋼のように、真っ赤になっている。
「でも、それももうここまで。あの竜巻の中で威力を増したこの剣で、今度こそあなたを叩き斬ってあげるわ!」
 メガエラは、真っ赤に燃える剣をジャスミンに向けた。
 メガエラの剣は、ジャスミンの守りを破壊したときの攻撃力を維持していた。どうやら、ジャスミンを囲った剣の檻を利用した攻撃力増加は、まだしばらく続くようだった。
 まるで、あの連続攻撃から抜け出した者の息の根を、完全に止めるためのようである。
「一難去ってまた一難、ってまさにこの事ね……」
 ジャスミンは呟く。
「ふふ、そうかもしれないわね。それじゃ、覚悟してもらおうかしら!」
 メガエラはジャスミンに向かって、真っ直ぐに突進した。
 しかしジャスミンは、臆することなく炎の剣を構えていた。
「……一つだけ、忠告しておくわ」
 ジャスミンは、向かい来るメガエラの突きを受け流し、横に跳んで回転した。
 予想外の動きに、メガエラは体勢を崩してしまった。しかし、ジャスミンの間合いからは外れ、反撃されることなく振り向くことができた。
「力押しでは、私には勝てない、絶対にね!」
 メガエラは確かに、剣が強化された事に傲って無策に攻撃をしてしまった。
 そのため、今受け流されたのはまぐれだと思った。
「それから、同じ技にはやられないわよ」
 ジャスミンは強気の笑みを見せていた。
「……忠告は一つじゃなかったのかしら?」
 メガエラも余裕を見せながら返す。
「まあ、固いこと言わない。注意することが聞けて良かったじゃない」
「ふん、その減らず口、いつまで続くかしら!?」
 再びメガエラは、ジャスミンに斬りかかる。動きは速い、しかし、ジャスミンにはよく見えていた。
 ジャスミンは、剣で振り払うのではなく、あてがうようにして身をかわしている。相手が一本の剣であれば、反撃の瞬間ができるはずだった。
 すぐにメガエラのもう一本が、ジャスミンに向けて放たれる。
 やはり、ジャスミンは剣をあてがって避ける。二本とも防がれ、メガエラに隙が生じた。
 ジャスミンは、メガエラの左側面に入り込み、剣を横薙ぎに振った。
「まだまだよ!」
 メガエラは腰を落とし、身を低くしてジャスミンの攻撃を避けた。攻撃はかなり寸前であり、ジャスミンの剣はメガエラの髪を数本切る。
 今度はジャスミンの方に隙ができた。そこへメガエラは剣を突きだした。
『エクスプロード!』
 ジャスミンは爆発を起こし、メガエラの攻撃をしのいだ。
 メガエラは爆発に巻き込まれないよう、大きく後ろに下がった。二人は互いに、間合いから遠く離れた。
 先に仕掛けたのはジャスミンである。
『イラプション!』
 ジャスミンはしゃがみ、地面に手をついた。
 ジャスミンのエナジーが地面に広がり、メガエラの足下を狙うように、次々に地面から火柱が上がった。
 メガエラは左右に動き回り、火柱をかわす。
 まだ互いに剣の届く間合いではない。するとジャスミンは、剣を地面に突き立て、岩土を巻き上げた。
『ロック・バースト!』
 ジャスミンは、巻き上がった岩土に小さな爆発を浴びせ、無数の岩の欠片を撃ち出した。
 メガエラは小さな岩をも足場とし、空に飛び上がり、岩の急襲から身を守った。
 メガエラは、そのまま上空から、ジャスミンに向かって剣を降り下ろした。
『ビーム!』
 ジャスミンは熱光線を撃ち、メガエラを迎撃しようとする。
「うっ!」
 メガエラはかわしきれず、肩を焼き焦がされた。しかし、痛みに怯むことなく、空中を更に飛び上がり、炎の剣を放ってきた。これは、剣の檻を作り出すものである。
「何度もくらわないわ!」
 ジャスミンは後ろに下がる。直後に炎を放って、落ちてきた剣を打ち消した。
「ちっ!」
 まさに一進一退の攻防が繰り広げられている。どちらも激しく攻撃を繰り出すが、どれも決定打にはならない。
 血戦と呼ぶに等しいほど激しい戦いであった。
「なんてすごい戦いなんだ……! お互い一歩も譲らない……」
 ピカードは二人の戦いに、完全に圧倒されていた。
「全くだ。……ふっ」
 ガルシアは、どこか嬉しそうに笑った。
「シンのやつめ、人の妹をあんな戦闘狂にしおって。末代まで恨むぞ……ふふっ」