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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 22

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「……ガルシア、物騒な事言いながら笑ってるじゃないですか」
「ははは……、これが笑わずにいられるか」
 ガルシアは、心底喜んでいた。
 弱虫で甘えん坊であった妹が今や、兄を超えるほどに、戦士として成長したのである。ガルシアにとって、この成長はこの上なく嬉しいことだった。
「ジャスミン、お前はもう、俺を超えた。その力でメガエラに打ち勝って見せろ」
 ガルシアは心から応援するのだった。
 赤く、熱した鋼のように煌めいていたメガエラの剣が、突然その輝きを失った。
「くっ……」
「ふふん、どうやら、パワーアップって言ったって、ずっとは続かないみたいね!」
 メガエラが攻撃と共に強化した剣は、攻撃力強化の時間に限りがあった。その時限が今、来てしまったのである。
「さあ、そろそろ決着をつけましょうか、メガエラ。私の勝ちでね!」
「自惚れを! 私は負けない!」
 ジャスミンは、メガエラへと急接近した。メガエラは迎え撃とうと剣を突き出す。
「残念!」
 ジャスミンは、メガエラの剣に剣をあてがって受け流し、メガエラの側面へと回り込もうとする。
「何度も同じ手はくわないわよ!」
 メガエラは、自らの右側面に入り込んでくるジャスミンを、回転して剣を振ることで薙ぎ払おうとする。
「待ってたわ、それが来るのをね!」
 ジャスミンはメガエラの動きを見切っていた。しゃがみこんで、メガエラの攻撃を空振りさせた。
 そして大きな攻撃を避けられ、大きな隙をさらすメガエラの左腕を、後方に宙返りしながら蹴りつける。
「ぐっ!」
 メガエラは腕を蹴られ、思わず剣を手放してしまった。手からこぼれ落ちた剣は、地面にからからと転がった。
「今だっ!」
 ジャスミンは、炎のエナジーを転換し、背中に大きな翼を作り出した。そして、空手となったメガエラの腕を掴み上げ、そのまま上空高く飛び上がり、メガエラを空高くへと連れ去る。
「やああああ……!」
 ジャスミンは飛翔しながら、自身の持つ最大級のエナジーを放つべく、全身に力を込める。
『フェニックス・フォーム!』
 ジャスミンは、身にため込んだエナジーを解放した。その瞬間、ジャスミンは、巨大な翼を持ち、長く伸びる尾に、鋭く尖った嘴をした鳥の幻影に包まれた。
「とうっ!」
「うぐっ!」
 ジャスミンはメガエラの腕を離し、腹に蹴りを当てた。怯んだその瞬間を逃さず、ジャスミンは突き出し、降下する。
「刺突鳳凰刃!」
 巨大な鳥の幻影と共に、ジャスミンの突きが、地に向かって放たれた。
「こんなものっ……!」
 メガエラは右手に持っていた剣で、ジャスミンの攻撃を防ごうとした。
 しかし、ジャスミンの力の方が圧倒的に強く、メガエラはどんどん地面へと追いやられていった。
「……ぐっ! くうう……! きゃっ!」
 火花を散らしながらジャスミンの剣を受け止めていたが、メガエラはついに押し負け、手から剣を離してしまった。
「覚悟!」
 ジャスミンは、メガエラの喉元に切っ先を当て、纏う炎の鳥の幻影と地面に落ちた。
 地面に落ちると、鳥の幻影は爆発し、巨大な爆発音と共に、辺りを強力な爆風に包み込んだ。
 爆風は、遠くに立つガルシア達にも吹き付けた。
「くっ……!」
「すごい、風です……!」
 ガルシアとピカードは、腕で顔を覆って爆風をしのぐ。やがて強烈な爆風が止み、二人は腕を顔から離し、視界を確認する。
 土煙が立ち込め、まだ遠くははっきりと見えないものの、土煙の中に影が見えた。
 影は二つ。一方は立ち、もう一方は倒れていた。
「どうやら、勝負あったようだな」
 ガルシアは口元に笑みを浮かべる。
「そのようですね。勝ったのは……」
 最早目で確認するまでもなかった。ピカードが感じた力は、とても成長した大きな炎の力であった。
 ジャスミンは、地に横たわるメガエラへと、切っ先を突き付けていた。
「この勝負、私の勝ちね!」
 メガエラの剣は、どちらももうない。強力な一撃を受けたため、意識も朦朧とし、エナジーも使えない。
「そん、な……、私、が……」
 メガエラは力尽き、気絶した。
 復讐の女神、メガエラを打ち倒し、この戦いはジャスミンの勝利によって幕を閉じた。
「ふう……」
 ジャスミンも剣を消滅させ、気絶したメガエラを担ぎ起こした。
「ジャスミン!」
 ガルシアとピカードは駆け付けた。
「兄さん、ピカード。お待たせ、終わったわよ」
 ジャスミンは、二人に微笑みかける。
「どこか怪我はないですか?」
「大丈夫よ。むしろピカードの方が傷だらけじゃない」
 ピカードには、ザガンとの戦いで負った傷が目立っていた。ピカードと比べると、ジャスミンは頬に掠り傷があるだけである。
「……確かに、僕の方が傷が深いですね」
 ピカードにたくさんの傷を与えたザガンは、ジャスミンに呆気なく倒されてしまった。
 ピカードは少し情けない気分になる。
「それよりジャスミン、メガエラは?」
「平気よ、ちゃんと息をしてる。気を失っているだけよ」
「そうか、よかった。しかし、連れ帰ったとして、彼女は俺達に力を貸してくれるだろうか?」
「それも心配ないわ。戦ってて分かったけど、メガエラに邪な心はない、潔く負けを認めるはずよ」
「それならばいいが……。ともかくここを出よう。デュラハンの手下、バルログは死んだ。こんな所に長居は無用だ」
「そう言えば、ガルシア。たしかここにフォレアが囚われているんでしたよね?」
「ああ、忘れてないぞ。それじゃあフォレアを探し出して、ボルケイ村に……、おや?」
 ガルシアはふと、遠くに赤く、きらきら光るものが転がっているのを見つけた。
 ガルシアは歩み寄り、その光るものを拾い上げた。
「それ、マーズスターじゃないですか」
 ピカード達も側に来ていた。
 落ちていたのは、錬金術解放の鍵となる宝玉、エレメンタルスターの一つであった。
「そう言えば、バルログはここを、暗黒錬金術の礎にするつもりであったな」
「ここは火のエレメンタルが溢れる絶好の場所ですからね。火の力を増幅させるにはちょうどよかったのでしょうね」
「ふうん、あの獣、そこそこ頭がよかったのね。そこまで考えてマグマロックを拠点にしたなら」
 ガルシアは、マーズスターを大切にしまいこんだ。
「ともかく、これで奴らの計画を邪魔する事はできたと言うことだ。ここで俺達にできることはもうない。フォレアを探してここを出るぞ」
 ジャスミンとピカードは頷いた。
 その後、三人はフォレアを救い出し、メガエラも連れてマグマロックを去るのだった。
   ※※※
 数ヶ月という時間だが、激動の旅をしてきたガルシア達にとって、再びボルケイ村に足を踏み入れるのは数年ぶりのように感じた。
 東の大河を隔てたキボンボ村のように、村は荒れていたが、村長であり、フォレアの祖父であるフォイアーが力と人徳を持っているためか、キボンボに比べて村人の統率がとれていた。
 村民の多くが村に残り、ガルシア達の事を覚えている者が数多くいた。
 聞くところによると、やはりここでも悪魔に下った者達がいるようであり、そのために、フォレアは生け贄としてマグマロックへと連れ去られてしまっていた。