タイムスリップ (4)
「オレは高校生のオマエに
オレを失わないか不安で
選択が間違ってないか
知りたいって言われた夢で…」
「私は夢で高校生の大輝に
あの時そう思ってたんだよ
って伝えたけど…」
「オマエホントにそんなこと
思ってたのかよ。
オレに都合のいい夢だから
言ってるのかと…」
「そう思ってたんだよって伝えたら、
高校生の大輝、
絶対に離れないから
って言ってくれたよ?」
一応違うシチュエーションだから
夢か現実か判断がつかない。
「オレ同じこと、
高校生のオマエに
言った気がする。」
ふとすずめは大輝に尋ねた。
「大輝、高校生の私に
何にもしてない?」
「は?してねえし!」
「あ!」
「何?したの?!」
「いや…泣かれたからつい…
抱きしめたかも…」
よく考えたら、
16歳の女子高生を抱きしめるとか
いくらすずめだからといって
ありえない。
「なんだ…よかった」
「なんだってなんだよ。
オマエこそ高校生のオレに
何にもしなかっただろうな?」
「なんでそうなるの?
普通逆じゃない?」
「バーカ。高校生のオレなんか
純情でヘタレなんだから、
オマエが誘わなきゃ
何にもできるわけねーだろ?」
「何言ってんの?
抱きしめてきたくせに!」
「は?オレが?!」
「何やってんだ、オレ…
盛ってんなよ、マジで…」
「プッ…」
思わずすずめは噴き出した。
「何だよ。」
「大輝は私を安心さすために
そうしてくれたんだよ。」
「…オレもそうだよ…」
「昔も今も、大輝はずっと
私に安心をくれるよね?」
「そうだといいけど。」
「くれてるよ。
この手をとってよかったって
ずっと思ってるよ。私。」
すずめは大輝の手をとって、
自分の頬に置いて目を瞑った。
「すずめ…」
作品名:タイムスリップ (4) 作家名:りんりん